2014年11月10日月曜日

【書評】 Lolicate (ロリケィト)


「ゴシック・ロリータ」のジャンルを超越した、珠玉のヴィジュアル・ブック


「ゴシック・ロリータ」という服飾ジャンルの名前を見て、何を連想するだろうか? ふりふりで甘い色使い、パニエで膨らませたジャンパ・スカートだろうか? それともお人形のようなメイク? はたまた「下妻物語」に出てくるちょっぴり「イタい」登場人物?

もしこういった物を連想するというのであれば、是非この本を手にとって欲しい。もちろん非常に可愛らしいモデルの写真も掲載されているのだが、それ以上に奥が深く普段気にもしない事物を容赦なくえぐるヴィジュアルが多く、読者にジャンル名を超えた印象を与えるだろう ( もちろんこのジャンルに対する予備知識がない読者にも十二分に楽しめるのは言うまでもない )。

「ロリケィト」は「ゴシック・ロリータ」の世界で生きているアーティストやモデル、メイクアップアーティスト、写真家、服飾デザイナー達自身が、表現したいことを同人誌として具現化した奇跡のヴィジュアル・ブックだ。もちろんそういった分野を扱う商業出版物も存在し多くのファンがいるのも事実だが、商業出版ではとても企画できないストイックな世界を第一線のモデルやスタッフ達が渾身の力を振り絞って表現しつくしている。

私もどこで何を間違えたのか、「ゴシック・ロリータ」の世界に足を踏み入れ、自らもその分野の服を着て実践を重ねているのだが( プロフィール画像などでお察しいただけていると思う )、服飾というのは人間にとって最も身近で最も強力な記号の受け皿であることをいやがおうでも思い知らされる。幼い頃に夢見た、もしくはテレビや映画、アニメ作品に憧れた記号をどう身にまとい自分のモノにしていくのか。それがこの分野での大きな課題であり同時に楽しみ方であると考えている。もちろん趣味にはお金も時間も手間もかかり、その一方で人間の一生はあまりに短い。短い寿命を、いや、この瞬間をどのように生きるべきなのかを考えさせられる芸術作品がこの「ロリケィト」なのではないだろうか。

装丁は B4 サイズで見開きページは実質 B3 サイズの大迫力。「ゴシック・ロリータ」ファンはもちろん、そうでない読者にもオススメできる1冊だ。なお蛇足であるが、いわいる性的表現は皆無なのでその辺りについても安心し「ロリケィト」の世界に身を委ねてほしい。

「ロリケィト」公式サイト : http://lolicate.com
公式Twitter : @Lolicate_STAFF
公式Facebook : http://facebook.com/lolicate

( 献本などはいただいておらず、BK-BrilliantKingdom,Triple*fortune 主催「Brilliant Star☆デコレーションズ Vol.7」会場で予約して入手し、この書評を書きました。 )