2013年10月7日月曜日

自治体の Windows XP 搭載 PC について

サポート期限切れが近づいている Windows XP ですが、読売新聞で「XP期限切れ、自治体「攻撃めったにない」」でちょっとセンセーショナルに報道されたせいか、この週末に自治体で使われているPCについてちょっと辛めな反応がブログやtwitter Facebook などで見られました。

特にサポート終了によるセキュリティ上の問題が懸念されていますが、IT というものとどうつきあっていったら良いのかというテーマが内在している問題のように私には思われます。


単に更新すれば良いという問題なのか?


「サポート期限切れのWindows XP を使い続け、更新しないのはケシカラン」と言い切ってしまうのは簡単ですが、自治体のPCをめぐる環境はそれほど簡単な状況ではありません。

そんな様子を垣間見ることができるのが、同じ読売新聞に掲載された「期限切れXP、自治体54%に20万台」の記事に書かれた「 更新できない主な理由」で、以前それぞれの項目についてちょっと考えてみます。

とはいえ、私自身は現在この業種からは遠いところにいて、しかも真面目に裏をとった情報ではなく、その時々での感想や印象などを思い出して書いたのでその辺はご容赦のほどを。もちろん特定の自治体が云々という話でもございません。 妄想程度に読んでいただければ幸いです。


「更新できない主な理由」アラカルト


新しいOSがつかいこなせない


一番皮肉に見えるのはこの項目かもしれません。

端的に言えばPCを使うための研修・教育が継続的に行われていなかったということですが、じゃあ今使っている Windows XP はどうして使えるようになったのかといえば、平成13(2001)年に森内閣「e-Japan戦略」下で行われた「IT講習会」が大きかったように感じます。

丁度 Windows 2000 から Windows XP への移行期に合計550万人が受講したというこの講習会ですが、その後OSの更新時にスキルも更新しなかったケースがあるのではないでしょうか。


予算の6割を地方交付税に頼り、除雪などに使われてしまう


ITに限ったことではないのですが、地方自治体の財政は地方交付税交付金に大きく依存しているのが実情です。ITを使うためには継続的な取り組みが必要ですが、2000年代はこの
分野について先にあげた「e-Japan戦略」でおりてくる補助金に頼っていたケースが多かったように感じています。

当時はいわいる「ミレニアム(千年紀)」を合言葉に様々な政策が出されましたが結局のところ「目新しい補助金」という性格があるものだったような気がします。それなりにIT業界が活発化したので効果はゼロではありませんが、継続的な政策にするのは難しい性格があったのではないでしょうか。

今回の問題にかぎらず、補助金で導入したものをどう更新するのかというのに苦労している団体は多いのではないでしょうか。同じような問題は公立学校に導入されている教育用のPCにおいても直面しているような気がします。


パソコンのリース契約が残っており、中途解約すると清算金が発生する


これも財政がらみの理由ですが、まとまったIT投資をする際には一括で予算を確保して購入することはあまり行われず、リース契約を組むケースが多いです。現在の税法上はPCについては法定耐用年数4年間の 0.7倍以上 1.2倍以内ということで、3年あるいは4年でのリース設定が可能ということになっていますが、私が見てきた中では4年、5年というケースが多く感じていました。

もちろん中途解約すると清算金が発生するという問題もありますし、仮にOSだけを入れ替える場合であっても新しいOSのライセンス費用やOSの入れ替え作業費などは別途措置する必要があります。またシステム更新時期が到来したのだけれども予算の都合上、リース契約を延長するようなケースも存在します。


住民サービスのシステムもXPにしか対応しない。すべて変えるためには莫大(ばくだい)な金がかかる


一番やっかいなものはこの項目かもしれません。先の「e-Japan戦略」を契機に現場にはいろんな箱が増えました。特に大きな影響があったのは全国住基やLGWANですが、これらのインフラを使っているシステムに現場PCのOSの選択は大きく左右されます。使うシステムのどれか1つに「動作環境は Windwos XP」とあれば Windows XP にせざるを得ないのが実情でした(今はどうなのでしょう?)。

Windows XPは、サービスパックをはさみながら、2001年10月のリリースから2014年4月の間実に12年半の長寿OSとなったわけですが、それを前提に作られたシステムのどれだけが新しいOSを対象とできるのでしょうか。これは自治体だけではなくいわいる公官庁公共システム分野のベンダーにも責任の一端がある印象がいたします。


予算要求したが、財政担当に却下された


地方交付税交付金うんぬんのところとも関連しますが、財政が厳しい状況では予算が認められないケースも当然出てくるでしょう。


スキルも機械も最新のものに更新していく努力を


こうして見ていくと中長期的なビションがない状況で一時的な財政措置や政策・施策で投資を行ってきたツケがまわってきた状況のように思います。なんとなく国の政策がマズかったようにも見えますが、短命な政権が相次いだり、2度の政権交代を経験
したのは、ある意味我々国民の選択であるわけで、このあたりを考えると渋い顔をせざるを得ないのかもしれません。

また Microsoftに対して「とても困っているから救済策を」という声もありますが、救済策としてサポート期間が延長された結果が2014年4月までのサポート期間ですからそろそろ腹を決めないといけない時期に来ている感がいたします。そもそもWindows XP から数えて、Vista, 7, 8 ( ともしかしたら 8.1も? ) と、3世代(もしくは4世代)前のOSにサポートを求めるのはさすがに酷な状況ではないでしょうか。

「じゃあ Ubuntu などの Linux を使えばいいの?」と思う方もいるかもしれませんが、結局サポート期間は有限の期間でWindowsやMicrosoftだからどうだということではありまません。なんでもそうですが「時期が来たら買い換える」必要があるし「知識は最新にアップデートする」必要があります。

伊勢神宮の式年遷宮ではありませんが、どう更新し活かしていくのかという視点、目の前のものが恒久的に使えるわけではないという、至極あたりまえの見解に立ち返る必要があるように思います。