2012年2月20日月曜日

「世界で通じる」ということ

先週の木曜・金曜に目黒雅叙園で、今年で10回目を数える、 Developers Summit 2012 (デブサミ) が開かれました。この「デブサミ」は一昨年に OpenSolaris のコミュニティでLTに参加した程度で今回は参加できなかったのですが、当初から「とりあえず10回やってみよう」ということで年々続けてきて今回がその10回目で大いに盛り上がったとのことで、参加できなくてちょっと羨ましい感じがします。

及川流の重いパンチ


そのデブサミの今回のテーマが「10年後も世界に通じるエンジニアであるために」ということだったのですが、Google の及川さんがふと疑問に思い twitter に

素朴な疑問なのですが、 #devsumi の「10年後も世界で通じるエンジニアであるために」って現在すでに世界で通じるエンジニアであるという前提ですね?
twitter - @takoratta

というつぶやきを残したんですが、これがまた「及川流の重いパンチ」で、誤解を生みそうな文面の割にリツイートされるだけで炎上することがなかったという話題が、はてなダイアリーのほうに書かれています。

Hatena Diary - Nothing ventured, nothing gained.

また、Google+ のほうでも「世界とかかわるってどういうことだろう」ということで話題が盛り上がった( こちらとかこちら )上に、はてなの記事では、以前公開した OpenSolaris LiveUSB Creator のエピソードまで取り上げていただきました。

「世界に通じるエンジニア」って存在するの?


正直なところ、ワタクシ長南が現在であろうと10年後であろうと「世界で通じるエンジニア」であるのかということであれば、全く自信なんて持てません。それなりに努力はしているつもりなのですが、やればやるほど次の目標が見えてくるわけでして、よっぽどユニークな感性を持ってないと「世界で通じるエンジニア」と公言できる人はいないんじゃないかと思います。

「通用するかしないか」という問題を考えだすとどんどん凹んでしまうのでこの議論はやめといて、じゃあ「世界とかかわる」って一体どういうことなんだろうということを考えてみたんですが、通信やインターネットの世界での一番の醍醐味って
いろんな人とコミュニケーションできる
ということなのではないかなと思うのです。それこそパソコン通信・電子メール・NetNews・Web・2ch・mixi・twitter・facebook・Google+といろんなサービスを通じた「場」があるわけですが、それを通じてリアルに顔を見たこともない人と友達になったり喧嘩したりなれ合ったりと、そういうことをずっとずっとやってきたように思います。

今ほどネット技術が普及していなかった時にはそれこそエンジニアの特権みたいなところがあったのですが、こういった技術がなかったら生活範囲内での人達としか知り合うことができなかったわけで、ある意味それだけでも画期的なことだと思います。

今はみんなスマホ持ってますし、ちょっと好奇心の幅を広げれば容易に世界とつながることができる時代になったんじゃないかなと思うのです。必要なのはちょっとした英語と一歩踏み出す勇気だけ。

簡単なところからはじめよう


ひとつ例を出したいのですが、昨年大きな話題になった「魔法少女まどかマギカ」というアニメがあるのですが、日本でも話題となった Doctor Dazza さんのレビュー動画を見てほしいんです。


はっきり言って何言ってるかわからなくても、ものすごい情熱を持っているのは伝わってくるわけでして、個人的に Doctor Dazza さんは twitter でフォローさせてもらっていて、日本でもこんなキャラクターが人気だみたいな、そういったどうでもいい話をしたことがあります。

「世界に通じる」とか書くと遠大な目標のように見えるのですが、はじめからラスボスと戦うようなことをしなくても、こういったところからコミュニケーションをはじめてみるのも悪くないと思うのです。

特に Facebook や Google+ では「いいね!」とか「+1」ボタンなんてあるわけですし、とりあえず面白いもの見たら「いいね!」「+1」を押してコメントで「 Cool ! 」と、こんなところから始めればいいような気がします。

日本に関心を寄せている人って実は僕達が想像しているよりもずっとずっと多いわけで、言葉は英語でアウェイでも話題がホームであれば案外なんとかなるような気がします。むしろ個人的には日本語であっても話題を紡ぎ出すのが難しい婚活パーティーとかのほうが辛いです。

「日本人だ」という話題を種にして、日本に興味を持ってくれている、仲良くなれそうな人をターゲットに twitter やら facebook やら Google+ やらでなれ合ってみるというのが良いかもしれません。

コミュニケーションってすばらしい


私なんか「世界とつながる」という意味でもマダマダなのですが、それでも昨年の震災のときには、国内の知り合いよりも先に Twitter で、
「chonan, 日本でデカい地震あったがオマエ大丈夫か?」
というメッセージをいろんな人からもらって本当に驚いた経験があります。実際リアルで会う機会がなかったとしてもここまで心配してもらえるというのはホントに恵まれているのかなとも思ったことがあります。ちょっとした勇気と好奇心を発揮するとここまで世界が開けるということで、エンジニアリングとかそういう真面目な部分じゃないところであっても「世界とつながる」ことって素敵なことなんじゃないかなと思います。

本当に必要な語学力はあとから付いてくるくらいの勢いで、まずは「世界とつながる」ことに挑戦してみてはいかがでしょうか。プログラミング言語ひとつ学習するくらいの気軽さで。

2012年2月10日金曜日

【購読】 「行っとけ! Ubuntu道場!」に出演させていただきました【御礼】

皆様こんにちは。長南でございます。

ってあらためて名乗ってもしょうがない部分もございますが、今回「ASCII.JP x デジタル」さんの人気 Ubuntu コンテンツ「行っとけ! Ubuntu道場!」に出演させていただきました。道場からおまわりいただいた方、ありがとうございます。影響とかよく把握しているわけではないのですが、ちょっとこのblog記事でひとり反省会開いてみたいと思います。

行っとけ! Ubuntu道場! ― 第53回 ~師範、Ubuntuのヘビーユーザーってどんな感じでしょう?~

Ubuntu の Japanese Team の皆さんとは主に twitter 方面で楽しくバカな発言を繰り返して、道場の記事が公開されたら無茶ぶり tweet を飛ばしつつキャッキャウフフしていたのですが、気がついたらなぜか道場に出演する流れになってしまいました。どうしてこんなことになった感が充満しているような気がしますが、ネタ的に面白いので深く追求はしないことにします。

私としては、あまりネタを狙わずに自然体で臨んだつもりだったのですが、皆様より「濃ゆい」とお褒めのお言葉をいただいて恐縮しているところです。

ufw は感動して以前このblogでも取り上げましたし、分野にもよるんでしょうけど、コンピュータでクリエイティブなことやろうとすると、コード書くためにエディタとか、文章書くためにエディタとか、その裏でコンパイルとか tex 整形するんでターミナルとか、そういったことやるわけですし、最近のマシンは(仮想でも実体でも)CPUたくさん詰んでるので同時にバンバン仕事させることができてハッピーだよねーって日常を吐き出しただけだったりするのですが、その辺が「濃ゆ」いように見えたんでしょうか。

あとこれは避けては通れないのですが「元Solarisユーザ」という紹介のされ方にかなり困惑された方がおらっしゃったようです。どうしても「なぜ宗旨変えしたんですか」的なことになるのは仕方ないのかなと思います。あとデスクトップ画像については収録後ネタ追加でということでリクエストもらってネタ追加という流れだったのですが、昔Solarisでのデスクトップ画像ねたを書いたことを思い出してちょっと再掲してみたいと思います。


いつもどんな環境で作業してるかというと… ~ ハレとケガレの weblog 本店 ( 2007/3/20 )


Solaris のスクリーンショットのネタは 2007 年の画像で何を狙って取ったのか忘れかけましたが、標準で Flash プレイヤーとか StarSuite とか ATOK とか Wnn あたりが入っててスゴイんだぜみたいなことを狙っていたような気がします。音が出ないのは自分でドライバでっちあげて音出るようにしたのでネギまわしの元ネタ動画も再生できるぜとか、vi ではなく emacs の画面が出ているのは IRC チャットの画面出したかったんではないかと思います。

その当時の Linux デスクトップはまだここまでキテる状況ではなかったのですが、今現在の状況をみると、普通に Flash 再生できるようになったというか HTML5 がキつつある状況だし、今のUbuntu なら IRC とか twitter はデスクトップ右上の Me Menu から扱うことができるようになったし、日本語入力の mozc はかなり優秀だし、最新ブラウザの Chrome だってちょっとした手間で導入できるし、オフィススイートが必要なら LibreOffice 導入して使えばいいしということで、少なくとも普段使いの道具としては商用ソフトの黄金打線だった当時のSolaris環境を完全に凌駕している感があります。

もちろんOSの優劣を語るのにデスクトップ環境というのは単なる要素にすぎないし、歳晩期の OpenSolaris でも色々な努力が続けられてきた点や、ZFS、dtrace といった要素や UNIX の本流を担う気概を垣間見ることがあったりしたわけですが、今の体制でそれがあるのかということになるとちょっと厳しすぎる点があるのではないかと率直に思います。

ちなみに方向性が全然ちがうけども今回の記事のターミナルばんばんなスクリーンショットも再掲します。

行っとけ! Ubuntu道場! ― 第53回 ~師範、Ubuntuのヘビーユーザーってどんな感じでしょう?~

こっちは最近の作業環境に近い部分をということを狙ったのですが、ターミナルに出ている文字に秘密にしとかなきゃいけないものが入ってたりするとヤバそうだということで、あたりさわりのなさそうなネタを仕込んだ感じです。

右上のやつとその背後のものはITとは全く無関係のしかも没原稿とそのPDFプレビュー、左上は tex のソースファイルから pdf ファイル生成するまでのやっつけ Makefile、左下は GCJ の練習問題を解くコードを編集している風、右下は Project Euler あたりのやつというネタ構成なはずです。競技プログラミングと非ITな日本語の文章を同時に編集するのはなかなかシュールなのですが、そこはご愛嬌ということにしていただければと思います。実際扱うネタが違うだけでいつものデスクトップっぽい感じではあります。

今後 Ubuntu 道場のネタがどうなっていくのかは誰にも予想できない部分がありますが、私が出ても出なくてもネタの仕込みはぬかりなく進んでいくのではないかと思います。

最後に、道場の収録と記事の間のギャップ、すなわちネタ化がどのくらいなのかということが気になる人がいるのではないかと思いますが、これは

「次は君が出演して確かめよう!」

と華麗に逃げを打っておきたいと思います。自分はまだまだヌルいユーザーなのに「ヘビーユーザー」って看板負けしてるよなーとか思う今日この頃でございました。