2012年11月28日水曜日

Ubuntu Magazine vol.10 は 11/30 発売です!

最近本業の仕事のほうでちょっとまとまった量の文章書く機会があったのですが、「雑誌記事みたいですね」と言われて思わず微妙な顔をしてしまった今日この頃ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、先日のSoftware Designに続きまして、Ubuntu Magazine の最新号が 11 月 30 日に発売されます。今回は表紙の子が3人に大増量(?)、新バージョンリリース後の号ということでお約束のインストール&仮想HDDイメージ収録のDVD-ROM付きの豪華仕様でございます。書店で手にすることが恥ずかしいシャイなお兄ちゃんはぜひ予約などしていただければ幸いです。

今回私は 「CentOS と Ubuntu の両刀使い」を目指す特集と、例によって著者陣総力戦特集の「新常識」特集「12.10セットアップガイド」特集の一部を担当させていただきました。CentOS〜の特集はそれこそギリギリまで粘って書かさせていただきましたが、「一口で二度おいしい」ということになるのか「同じことを二回言われ」となるのかは分かりませんが、読んでやっていただければ幸いです。

また、今回は「やめときゃいいのに」的な感じで謎のサプライズ(もしくはガッカリ)が仕込まれてしまいましたので、そういったところも楽しんで(?)いただければ幸いです。謎のネタの詳細は本を手にして、実際にみなさんの目でご確認いただければ幸いです。

2012年11月16日金曜日

Software Design 12月号に寄稿しました

みなさんこんばんは。ここ最近ずっとデジタル引きこもり(?)になってブログそっちのけで原稿を書いているわけなのですがいかがお過ごしでしょうか?

今回、技術評論社さんのSoftware Design誌で Ubuntu Japanese Team で連載させていただいている「Ubuntu Monthly Report」の12月号の担当として寄稿させていただきました。

お題は、人知れず自動更新されるようになった Ubuntu の /etc/resolv.conf についてのお話でございます。

執筆している時には、この号の他の記事についてはよく知らされていなかったわけですが、書影が公開され特集のテーマを見て、のけぞってしましました。

「なぜエンジニアは文章が下手なのか?」

私は、あまり文章がうまいとは思っていなく、正直「文章下手な奴が連載書いてごめんなさい」状態でございます。こればっかりは色々苦労して文章を書くことによってはじめて磨かれることがあるので日々鍛錬するしかないのですが、この手の話題を見るとどうしても Eric S. Raymond の "How To Become A Hacker" 「ハッカーになろう」のフレーズを思い出します。
 もう一度いいますが、ハッカーになるためにはハッカー精神を身につけなければなりません。コンピュータの前にすわっていない時にもハッカーになるのに役立つことがいくつかあります。以下にあげることは、ハッキングそのものの代わりにはなりません(そんなものはあるわけがない)。でも多くのハッカーは以下のようなことをやっていますし、それがハッキングの真髄に本質的に通じるものがあると感じています。
  • 母語できちんと文が書けるようになること(わたしが知っている最高の連中を含め、ハッカーの驚くほど多くは物書きとしても有能です)。
エンジニアとハッカーを同じものとして議論するのは乱暴な話ではありますが、 それでもハッカー精神を身につけるためにということで、機会があれば書かさせて頂いているわけですが結局重要なのは苦労して頭を働かせることなのかなと最近思うようになりました。

ということで、技術評論社さんのSoftware Design12月号は、11月17日発売でございます。連載の持ち回り担当という立場ではありますが、手にとって頂ければ幸いです。

2012年10月1日月曜日

あめが同じ数ずつはいったふくろ

ある朝起きたらなぜか身長がものすごく縮んでいた。何が起きたのかよく分からなかったが、母親(なぜかものすごく若い。何があったんだ?)が血相変えてやってきて、とっとと学校に行けとうるさい。あたりを見るとランドセルが転がっていて、小学2年の教科書やらノートやらが入っている。うーん、どうやら俺は小学2年の頃にタイムスリップしているようだ。

どうしてこんなことになったのかまだ頭の中が混乱しているけど、学校に行かないと母親にヒドイ目に逢わされそうなので、しかたなく小学校に行った。

なんとか小学校についたけど遅刻ギリギリで状況を把握する前に授業が始まった。朝から算数の授業で、しかもいきなりテストらしい。

なんてこったっと思って朝起きてからのことを振り返ってみたが、冷静にみるとテスト自体はそんなに難しくはないようだ。が、最後の問題がやたら難しいぞ。えーと何だって ...... ?

( Twitter @suetsumu_hana さんの twitpic から )

活用する力をみる問題
あめが同じ数ずつはいったふくろがいくつかあります。あめぜんぶの数は 8×5 のしきでもとめられます。つぎの中で正しいものには○、正しくないものには×をつけましょう。
  • あめのふくろはぜんぶで8つあるね。
  • あめは1ふくろに8こずつはいっているね。
  • あめのふくろはぜんぶで5つあるね。
  • あめは1ふくろに5こずつはいっているね。

えーと、あめが8個ずつ入った袋があって、それが5袋だったら、かけられる数が8でかける数が5だから 8×5 で ... ってどうして式が書いてあるんだ?

いやまてよ、左上になんか不吉なことが書いてある。「活用」とかにふりがながついていなくて、しかも習った漢字じゃないけど、こういうものがある問題はものすごくイジワルで気を付けないといけないんだった。この間もこういう問題で騙されたし、こういう問題ができないと大人になったときに困るって言われたっけ。

うーん、うーん、よくみると袋の中のあめの数から 8×5 の式が出てきたとは書いていないなあ。ここ最近ずっと算数でかけ算を習ってきたので、袋の中にあめが8個入っているように考えるのが自然なんだけど、「活用する力をみる問題」で騙されちゃいけない油断できない問題だ。本当は4個入り10袋とか2個入り20袋とかで、8×5 の式は罠かもしれない。

とすると、あめの袋は必ずしも5袋とは限らないし袋にあめが8個入っているとも限らない。ツインテやおさげの女の子や前髪ぱっつんやワイルドな男の子はみんな大人に騙されかけてるんだ! 「正しくないものには×」と書いてあって、「まちがっているものには×」ではないから、「4つとも×」だ。とっとと書いて提出...... うわ、なんでいきなり頭が痛くなるんだ......

え?なんだって?ものすごく歳の離れたお兄ちゃんのような人がアドバイスしている気がする...

 「今の立場をよく考えるんだ。やたら正義のヒーローっぽくなりたい君の担任が『どのような答えが欲しいのか』を。君が今ものすごく苦労して出した答えが正しいことはずっと後で気が付くことになるけど、 君の担任は理解できない。君の担任も実は大人の世界で生きている人間の一人で先生達の間での『お約束』に縛られている。 絶対的に正しいことを書くのではなく、その時々にどのようなことを求められているのか考えるのはとっても大事だ。『4つとも×』にいきついた考え方も忘れないでいて、今は担任の立場を考えて、8個×5袋で答えを書くんだ。」

はっ、頭は痛くなくなったけど、なぜか、あの正義感丸出しの担任がこっちを睨んでいる。しかたないな、「4つとも×」は勘弁してやるか。そもそもなんで小学2年にタイムスリップしたのかわからないがとりあえず目の前のテストを提出してからゆっくり考えよ......あれ、なんだかものすごく眠いぞ......


2012年9月27日木曜日

Adobe のソースコード用フォント「Source Code Pro」を試してみた

Adobe からオープンソースでプログラミングに特化したというフォント「Source Code Pro」がリリースされました。リリースを報じるニュースを見るとかなりコダワって作ったフォントだということで、ためしに使ってみました。

まずは、私が常用している、 Inconsolata での端末画面です。Ubuntu / Debian ではパッケージが用意されていて、

$ sudo apt-get install fonts-inconsolata

でインストールすることができます。システムで使われているフォントを全部入れ替えるのも悪くはないのですが、元々の標準フォントの Ubuntu ファミリーのフォントも ( プログラミングに適しているかどうかは抜きにして ) 味があるので、端末にだけ設定してみたのがこちらです。 ( スクショにポインタが残ってしまったのはご愛嬌ということで勘弁してください )
Inconsolata を使った「端末」画面
Inconsolata を使った「端末」表示例


次に今回の Adobe の新作 Source Code Pro を使って同じ文面を表示させてみました。こちらはリリースされたばかりですので、こちらからダウンロードしたものを、~/.fonts に配置して「端末」のフォント設定を変えてみました。

Source Code Pro での「端末」表示例
Source Code Pro での「端末」表示例
こちらはサンセリフっぽいテイストで文字の高さがより低くデザインされている違いがあるのですが、数字の「1」が他の文字と調和して「L」の小文字の「l」と読めてしまうように思えます。また、「i」がかなり個性のあるデザインなのですが、シチュエーションによっては「j」や「t」のように誤読しそうにも思えます。

文字幅が等幅 ( monospace ) であったり、「L」の小文字と大文字の「I」数字の「1」のようなまぎらわしい字型のものがそれぞれ区別されているというのはプログラミング用のフォントとしては最低限欲しい仕様なのですが、それ以上の突っ込んだ使い勝手についてはあまりレビューされていなかったんではないかと感じざるを得ません。結局個人的にはちょっと試して元の Inconsolata に戻してしまいました。

おまけで、Ubuntu Monospace でも同じ文面を表示させてみました。
Ubuntu Monospace での「端末」表示例
Ubuntu Monospace での「端末」表示例
こちらはどちらかというと Ubuntu らしさが漂う感じになりました。「e1elent」の部分はハッキリと「数字が混入している」違和感が出ています。

個人的に Inconsolata の存在を知ったときに実用性に驚いてずっと使ってきたのですが、Source Code Pro はオープンソースフォントだということで、改良が進むことに期待したいところです。

Nexus 7 が国内でも購入できるようになりました

Google の Andorid タブレット Nexus 7 が日本でも購入できるようになりました。

そして、この Nexus 7 に合わせて、Google Play ブックスがオープンしたことがアナウンスされました。

突然の記者会見


Nexus 7 販売開始に合わせて Google が記者会見を行ったのですが、その模様を岡田有花さんが ITMedia で記事にしています。

Androidの強みは「オープン性」、「競合よりはるかに速く成長」――Googleシュミット会長が来日 〜 ITMedia

余談になりますが、この岡田有花さんの記事でのシュミット会長の写真につけられたキャプションが気になります。
Nexus 7を手にするシュミット氏。約15分間のプレゼンテーション中は常に台本のような紙を持ち、時折目を落としながら話していた
 岡田有花さんも直接本人に確認したわけではないので「台本のような」と断定した言い方は避けていますが、拡大写真を見ると確かに脇に抱えた紙に
with each app being like extra blades on Swiss Army knife. And that means ...
We recently launched a tablet in the US and Europe called the Nexus 7 ____ ____ what is possible when hardware and software combine with 
(NEX)US7 - SLIDE WITH NEXUS 7 APPEAR
といった文字が読み取れるような気がします。 Google はオープンにすべきものはオープンにする一方で、自身のビジネスに関する部分は徹底的に秘密主義を貫くことが知られていますが、良い悪いは別として、こういった台本を手にトップエクゼクティブがプレゼンをするというのも非常に興味深いものがあります。

Nexus 7 登場の意義


さてこの Nexus 7 ですが、日本で発売が開始されたことはこんな意義があるのではないかと思います。
  • 「Google 公式の」タブレット端末である
  • 本を読むという体験に関してようやく iOS に並びかけた
  • 中華端末の価格的メリットが少なくなった
 先日発売された Ubuntu Magazine vol.09 では中華端末視点での記事になりましたが、Nexus 7 が市場に登場したことでもう一度掘り下げてみたいと思います。

( 余談ですが個人的には海外から取り寄せていて、手元に届くタイミングによっては記事でも一部触れる予定でしたがバックオーダー状態になってしまい Nexus 7 が手元に届いたのは脱稿後になってしまいました )

「Google 公式の」タブレット端末である


Ubuntu Magazine の Android 特集でもちょっと触れましたが、真面目に Android 開発をしようと思った時にネックになることとして「まっとうな開発端末を手に入れる」ということがあります。

今まではどうしても Android 端末は「携帯電話・スマートフォン」という前提があったため、キャリアが販売することが前提になっており、月々の契約が必要になったり、キャリアによる時としてお節介になりがちなカスタマイズが施されローカル色の強い端末を使わざるを得ず、また「公式のNexus端末」は日本ではごく一部の例外機種を除いて販売されてこなかったので、手に入れようとすると海外から取り寄せなければならないという開発者(ガジェットギークも含めて?)泣かせの事情がありました。Nexus 7 については1か月くらい前から秋葉原のショップで見かけることがありましたが、自力で送料をかけて輸入する価値があるほどのプレミアム価格がつけられていた事情もありました。

標準的な位置づけの端末が国内で簡単に購入できるようになったということは開発者にとっては大きな福音になるのではないかと思います。

本を読むという体験に関してはようやく iOS に並びかけた


そして、「Google Play ブックス」です。iPad を使う用途の一つとして「電子書籍を読む」ということがありますが、ようやくそれに近いことができるようになりました。「なんとなく便利そうなモノ」から「少なくとも電子書籍を読むことができるモノ」に進化したことは大きいのではないかと思います。

この Google Play ブックスは ヘルプによると Android 2.2 以降で Google Play ストアアプリが導入されている環境 で動作するということなので、Nexus 7 云々はおいておいても、Android ユーザーの 95 % 超の端末で「Google Play ブックス」のコンテンツを利用することができるようになったということになります。

また、国内の電子書籍ということでいうと、楽天の kobo がサービスとしては先行していて、Google の場合はコンテンツの品揃えについて具体的な数字を出しているわけではないものの、著作権が切れた本をデジタル化する「Google Books」の成果が今回の「Google Play ブックス」で利用できることが大きな特徴です。国内では慶応義塾図書館の資料の一部が該当し、検索キーワードによっては、電子書籍に混じって古本屋でしか入手できない資料がヒットして「無料で購入」できるのが非常に興味ぶかいところです。

中華端末の価格的メリットが少なくなった


さらにガジェットギークの方にとっての一番の変化は Nexus 7 の販売価格だと思います。現在 Google Play で 16GB モデルが 19,800 円で販売されていますが、現在 1万円台前半で売られていることが多い中華Androidタブレットとの価格差が圧縮されました。これまで中華端末は
  • 搭載されているOSが新しい
  • 価格的に安い
という2つのメリットがありましたが、Nexus 7 の登場でこのメリットの両方を失ってしまうことになります。公式端末の入手が難しいという状況で一定の支持を得てきた部分があるので、今後どういった展開を見せるのか注目したいところです。

Nexus 7 は買いか?


ということで、Nexus 7 はどんな人が買うべきかということを考えみました。

買うべき人

 
  • Android 開発者
  • 最新のAndroid OS を使いたい人
  • タブレット製品に興味があったけども購入にふんぎりがつかなかった人
 

それほど気にしてなくてもいい人

 
  • 単に Android で本を読みたい人 ( Google Play ブックスは Android 2.2 以降の端末で動きます )
  • 中華タブレットをバリバリ使っている人 ( Android 4.0 → 4.1 はそれほど目を見張る新機能はありません。地味に見えがちな改良点がたくさんあるのも事実ですが )
  • カメラアプリを使いたい人 ( アウターカメラついていません! )
  • Wifi インターネット接続環境を用意できていない人 ( Nexus 7 単体では Wifi のみです。すでに ISP各社がセットプランを発表しているので、それに乗るのも一つの手段かもしれません )

2012年9月18日火曜日

Ubuntu で Boogie Board RIP をペンタブレットとして使う

みなさんこんにちは。
Ubuntu Magazine Japan vol.09 (AA) はご覧になっていただけたでしょうか?

実はその Ubuntu Magazine の脱稿直前の最終修羅場局面で、突如 Boogie Board RIP が秋葉原のお店で 2,500 円で売られるという状況が発生し、関係者がこぞって秋葉原で Boogie Board RIP をゲットするという出来事が起きました( その後何度か在庫が消えては復活しているようです。またこの記事を書いている時には SOUTHTOWN 437 さんが Amazon で 2,980円で販売しているようです(AA) )。

この Boogie Board RIP ですが、地味に Windows 向けにペンタブレットとして使うためのソフトウェアが公開されていて、関係者の間では自然に Linux(Ubuntu)ではどうなんだろうという議論になったのですが、タブレット上の位置情報を取得した blog 記事がある ( Oliver Migeot さん, Mark Johnson さん ) という話題になりました。

ちょうど私もRIPをこのタイミングでゲットしたので試してみたところ、確かに位置情報が取得できることを確認しました。あとは「誰かがドライバを書けばなぁ」ということになるのですが、カーネルツリーを調べてみると、タブレットの入力デバイス用のデバイスドライバを書くこと自体はそれほど難しくないようだということがわかったので、Boogie Board RIP をペンダブとして動かすドライバを書いてみました。ソースファイルは github.com に、また Ubuntu デスクトップ環境向けに DKMS PPA を準備してみました

導入はこんな感じで行います。
$ sudo add-apt-repository ppa:hchonan/boogie
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install boogie-dkms
また、 DKMS というのは Dynamic Kernel Module Support の略で、カーネルがアップデートされた際にも自動的にカーネルモジュールのビルドとインストールが行われる仕組みの PPA となっています。

なお、x.org 側は汎用の入力ドライバー evdev を使う前提にしています。標準の Ubuntu デスクトップ環境であれば evdev は設定も含めて標準でインストールされていますので、DKMS PPA を導入し、Boogie Board RIP を USBポートに挿せば即使うことができる(はず)です。実際のところ感圧は感知しないので非常に惜しい感が漂いますが、このくらい安く手に入れることができればオマケ感覚で使ってみるのもよいかもしれません。

とはいえ、十分にテストしているようなものではないので、あくまで自己責任で、また動かしてみてどんな感じだったかをお知らせいただければ幸いです( 手元の環境ではでは Ubuntu 12.04 LTS デスクトップ版を新規インストールした直後に DKMS PPA を導入して動作を確認しました )。

2012年8月27日月曜日

Ubuntu Magazine Vol.09 は 9/6 発売予定です!

あれだけ暑かった今年の夏も涼しくなるかと思わせておいて、まだまだという感じですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

季節の変わり目といえば、そう、Ubuntu Magazine です。今回は様々な事情で怒涛の修羅場状態となり、私も半死半生状態でブログ書けない状況が続いておりましたが、無事に 9 月 6 日に発売されることになりました。Amazon ではすでに予約ができますので、突撃して下されば幸いでございます。

今回私は謎の「ごにょる」記事と著者陣総力戦(?)のフリーソフト特集の一部を書かさせていただきました。「ごにょる」方は個人的に反省すべき点がたくさんあったのですが、 編集さんの力添えでなんとか形になった感じでございます。

「あいつがヒーヒーいいながら書いたんだなこれ」と思いながら読んでいただければ幸いでございます。

ところで、今回の表紙の子って一体誰なんでしょう? 識者の方、ぜひ教えてください !

2012年8月2日木曜日

「IT教育」ってなんだろう?

優れたIT技術者を育てるには という記事を読んだ。この記事はもともと、スマートフォンアプリ開発私塾に小学生が集まっているという日経新聞の記事に対して、幼い頃からプログラミングをやらせるよりもそれより先に基礎教育を充実させるべきだという主張をしている。 
プログラミングも同じで、初めからプログラミングに特化するより、数学、国語といった基礎をしっかり磨くことが大事だろう。
この議論は目新しいものではなく、もう中年といっていい私が小学生の頃に聞かされたフレーズで、今改めて目にすると妙なデジャブ(既視感)を感じてしまうフレーズだ。

私がまだ幼い小学生のガキだったころ、電気屋の店頭には百花繚乱といっていいほど多くの8bitパソコンが並んでいた。もちろん当時の懐具合では購入するようなことはできなかったけれども、それこそ「マイコンBASIC Magazine」をはじめとしたコンピューター雑誌などが書店に並んでいたこともあって、情報源が少ないなりに学んでいたというか好奇心をぶつける格好のターゲットになっていた。

もちろんそんなことは当時関わりを持っていた教師達には理解されるはずもなく、10歳そこらのガキがコンピュータにうつつを抜かす様子はひたすら奇怪に思われていたように思う。色々議論を試みるが結局のところ二言目にはそれこそ
コンピュータよりも先に国語、数学だ。
と繰り返し言われていたように思う。ここまでくると反論しても無駄なことは幼い私でさえも十分理解できたのでそれ以上何も言わず、現実世界での私とコンピュータの世界での私とが同居している状態だった。掛け算の順序がどうこう言っている一方で変数がどうの、バネとおもりがどうこう言っている一方で重力加速度がどうのとかそういうことを考えていた。

その結果優秀かどうかは別として私のようなエンジニアができあがってしまったわけだが、学校教育とは全く関係ない部分での当時の体験は今のエンジニアとしての仕事にも大きく影響を与えていているように思う。

特に義務教育の現場では、基礎学力の定着のために進度がゆっくり目であったり、学習指導要領に沿った教育を行うことが前提になっている。そのため、クラスの全員がある程度の水準に達することが目標に設定され、その目標があるが故なのか、上位学年での内容は基本的に知らないことになっていて、生徒が下手に習っていない漢字や公式を使うと理不尽に怒られるということがあったり、ひたすら計算ドリルや漢字の書き取りをやらされるということがあったことを思い出す。

これは言ってみれば「これはできないとダメ」という点で、罰系の学習過程と言ってよいのではないだろうか。社会的な要請もあるけれども「人並みに生きるためにせめて○○高校××大学に」といったそういうニーズは学校教育の中でどんどん膨れていって、気がついたら学校で行われる教育では罰系の学習過程が肥大しているのではないだろうか。小中学校でPCの使い方を教えるようになった時には正直「俺達のフロンティアは刈り取られてしまった」というガッカリした印象を持った。

結局のところ、スマホアプリ私塾や私の幼い時の体験のようなものは、余計なものであるかもしれないけれども、「好奇心を満たす」という報酬のために突き動かされた報酬系の学習過程でその価値は小さいものではないと信じている。

先にあげた 優れたIT技術者を育てるには でも出てきたピアノ演奏の話は非常に面白い例えだと思うのだが、
これは、ピアノの演奏に喩えると分かり易い。ピアノの演奏技術を習得するのには、少なくとも数年、多くは10年以上といった極めて長い時間が掛かる。初めは両手の10本の指を均一化するために、退屈ではあるが、指の運動(ハノンピアノ教則本など)、スケールの練習、アルペジオの練習などを延々と続けなくてはならない(これはプロになっても続く)。 そのあとで、漸く、曲らしい曲を弾くことができるのである。初めから曲を弾くことは効率的な演奏技術の習得には繋がらない。
という点には全く同意できない。ピアノ教室でハノンを罰系の学習過程よろしくひたすらやらせていたら生徒がいなくなって早晩その教室は潰れてしまうだろう。実際にはハノンもやるけれどもバイエル( 最近ではバイエルにも批判がありバーナムなどが採用される例があると聞く ) やブルグミュラー、ソナチネアルバム、ソナタアルバムと習熟度に応じたテキストを採用し、発表会のステージにも立たせて技術だけではなく経験や楽しさも一緒に教える例を多く耳にする。罰系、報酬系のそれぞれの学習過程をバランスよく取り入れて、その時々に必要な課題を見出すということがなにより重要なことではないだろうか。

ITの世界での問題はピアノでいうバイエルやブルグミュラーに相当する定番の良いテキストや学習メソッドが存在しないことだろう。ITの世界全体の変化が激しい事情も考え合わせれば無理もないことかもしれないが、その代わりに報酬系の学習機会には積極的に参加してみても良いのではないと思う。勉強会やセミナー、Google code jam や Google Developer day の devquiz などのプログラミングアルゴリズムコンテスト、A3 Together などのより実践的なアプリコンテストなどに参加し、そして足りない部分を課題と見据えて鍛錬する、そういった姿勢が優秀なITプログラマを生み出す根源ではないかと思う。

プログラミングの罰系の学習過程はコードを書く過程でコーディングスタイルやデバックなどでいやでも経験させられるだろうから、ピアノのハノンに相当するのは、あえて言えば「たくさんコードを書く」ということに尽きるのだろう。

IT プログラミングというのは学校でマス教育的な手法で身につくようなものではなく、楽器演奏のような一種師弟的な部分で育まれる部分が多いアーティスティックな「もの作り」の要素が強いのではなかろうか。

2012年7月19日木曜日

BPStudy #58 でのセッション動画と資料を公開しました

開催から時間がたってしまいましたが、先日登壇させていただきました BPStudy #58 でのセッション動画と資料が揃いました。


OSC の Ubuntu セミナーでもそうだったのですが、自分の中でまだ比較的尺が長い ( 40分とか50分とか ) でのパフォーマンスがまだまだな気がしています。どちらかというと、まだまだ LT 野郎なのかなとヘコんでいたりもします。

はじめは、あまりにもヒドかったら動画は公開しないでおこうかとも思いましたが、これも成長の糧だということで、自己処刑的な感じで晒しておきます。

それにしてももうちょっとならんかな、俺。


Ubuntu Japanese Team の メンバーになりました

私事で申し訳ないことではありますが、この度 Ubuntu Japanese Team の メンバーとして参加することになりました。

Ubuntu Japanese Team のメンバーというのは、こちらのページで書かれているとおり、積極的な活動を行い、中心的な役割を果たすことを期待される参加者で、IRCミーティングで審査承認されています。

私の場合は、道場でのゲスト出演や Ubuntu Magazine Japan へのライター参加、先日の OSC 2012 Sendai 参加を通じて、メンバーにしていただいたという経緯でございます。色々な場面で陰に陽に応援して下さった方々にはこの場を借りて御礼申し上げます。

Japanese Team そのものはオープンな Ubuntu コミュニティの一部で、メンバーでなくとも誰でも自由に参加することができます。私もメンバーになったから特別どうだということはなく、今まで通り(もしかしたらより活発に)活動していきたいと思っています。

Ubuntu のコミュニティで特筆すべきことは、Code of Conduct (行動規範) がより重視される点で、参加者がどのようなスキルを持っているかよりも CoC に沿っているのかが問われてきます。Ubuntu が今までよりも、より楽しく実りのあるものになるその手伝いをしていければなと思っています。

2012年7月17日火曜日

オープンソースカンファレンス 2012 Sendai 参加ご報告

事前にこのblogで告知することができなかったのですが、この週末は「オープンソースカンファレンス 2012 Sendai」に参加してきました。

仙台でのオープンソースカンファレンスにはこれまで私にとっては位置づけ的に地元開催という意味合いが強く、一昨年の OpenSolaris、昨年のpid0.org に引き続き、今年は凱旋というかお礼参りといった感じで、Ubuntu Japanese Team として参加させていただきました。関係者の方々には非常にお世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

今回は Ubuntu の人ということでブースとセミナーを、そして性懲りもなくLTもぶちかますフルパワー全開状態での参加となりました。

セミナーのほうは直近にリリースされた、Ubuntu 12.04 LTS についての比較的ライトなお話をさせていただきました。



そして LT ですが、過去2回同様、来場者に勇気を持ってもらうようなことをテーマにこのようなネタで喋りました。




冷静になって考えると、LTで喋ったほどには私は出世(?)していない気がしますが、それでも聴いてくださった方に元気やモチベーションを分けることができたならば、やった甲斐があったと感じています。

なんだかんだいって、まだまだ喋りが下手くそな気がしてちょっと憂鬱だったりもするのですが、記録と反省を含めて掲載しておきたいと思います。

2012年7月2日月曜日

【書評】 うぶんちゅ! (電撃コミックス EX 172-1) 瀬尾 浩史 著


コンピュータの楽しさを Ubuntu を通じて思い出させてくれる、21世紀のIT啓蒙コミック


IT業界は変化の激しい業界だと本当に思う。

少し過去を振り返ってみても、軽蔑されがちだったパソコン通信時代、Windows 95 とインターネットブーム、ライブドア事件、過酷化するエンジニアの労働環境、モバイルSNSの成長と行きすぎた射幸性の追求... と、IT技術の発展・変化と同じくらいビジネス環境や社会の評価という点で毀誉褒貶の激しい分野であることは間違いないだろう。

そのような分野になぜ関心を持ち、なぜ職業として選択したのかということを思い起こしてみると、コンピュータを使うことに伴う、ちょっとした苦労とそれを乗り越えることによる楽しさ、カタルシス、そういったものが原動力であったのではなかったかと思う。

私がコンピュータに興味を持ち始めた1980 年代は、今に比べて性能、ソフトウェア、通信環境、どれひとつとっても非常に貧弱だったが、それでもコンピュータが持つ可能性については繰り返し啓蒙がされ、教育的な要素とホビー要素のバランスのとれた、優良な雑誌や書籍が数多く出版されていた。

1980 年代のそういった雰囲気を表現するのは非常に難しいが、非常に影響力があった、すがやみつる先生のコミックで、Microsoft の ビル・ゲイツ を題材にしたものが、すがやみつる先生ご自身のblogで公開されていているので、その時代を過ごしていない方は、当時の雰囲気だけでも読み取っていただきたい。

・マンガ『ビル・ゲイツ物語』~ すがやみつるblog
http://sugaya.otaden.jp/e306.html

こんな環境の中で、コンピュータの可能性や楽しさを見い出し、やがて職業としてIT業界を選択したというエンジニアは私と同じような世代に多く存在する一方で、日々の業務に追われて本来の楽しさを忘れてしまっている人も少なくないだろう。

「うぶんちゅ!」は掲載母体の「Ubuntu Magazine Japan」の中で、その時々の Ubuntu の旬な話題を題材に楽しさを伝える位置づけで、毎号完結読み切り型のスタイルで連載されているが、今回の単行本化にあたっては、各エピソードをまとめるだけではなく、著者のコメンタリー的な4コマや描きおろしの新エピソード、サービス(?)エピソードが追加されており、毎号「Ubuntu Magazine Japan」を読んでいる読者も十分に楽しめる構成になっている。

劇中においても単に学園の中でドタバタしているだけではなく、各エピソードのクライマックスで発揮される三者三様の「システム管理同好会」メンバーのスキルや問題解決(?)能力は読んでいて非常に爽快だ。

若い方であれば「県立壱宮高校」の登場人物に自分をなぞらえて、また私のように必ずしも若くない方は若かりし時の自分に登場人物をなぞらえ、現状に追われるだけではなく未来を見据え、「あかね」、「マサト」、「里沙」の「システム管理同好会」メンバー ( もしかしたら、あなた自身かもしれない!! ) が将来どのようなエンジニアになるのだろうかという観点で、この「うぶんちゅ!」を読んでみると、また違った味わいがあるのではないだろうか。

また、単行本を読んで気に入ったならば、著者のWebページで公開されている本編や掲載母体である「Ubuntu Magazine Japan」もあわせて読み、実際に Ubuntu を動かして、自身の手で楽しさを追体験することができれば非常に実り多いものとなるだろう。

(株式会社アスキー・メディアワークス 佐藤 様よりご献本いただきました。ありがとうございました。)

2012年6月28日木曜日

金曜日の BPStudy #58 に登壇します

BPStudy
開催が近くなってしまって申し訳がないのですが、皆さんにお知らせがございます。

このたび、株式会社ビープラウドさんが主宰するWeb系技術勉強会「BPStudy #58」に登壇させていただくことになりました。開催は今週の金曜日 19:00からとなります。

詳しい内容については参加者募集ページに掲載していただきましたが、プログラミングのことではなく、「書籍とつきあう」ということにターゲットを合わせて、(おそらく)ディープな話題をお話しいたします。iPhone アプリ開発話、PyCon参加報告の間で息抜き的な立ち位置で、また参加費として 1,000 円かかる勉強会でございますが、お気軽にお誘いあわせの上ご参加いただければ幸いです。

と、偉そうに告知してしまいましたが、実は BPStudy 初参加で初登壇という自分でもよくわからない無茶ぶりシチュエーションでございます。もしかしたら現場でテンパってしまうかもしれない私を見物に行くというのも、楽しみ方の一つかもしれません。

2012年6月27日水曜日

立教大学 「考える技術・伝える技術 ~立教型ビジネス基礎講座~」受講記

みなさんこんにちは。

ここしばらくほぼ毎週土曜日に、立教大学の連続公開講座に参加していました。(紹介してくれた masafumi さん、どうもありがとう!)

立教大学 「考える技術・伝える技術 ~立教型ビジネス基礎講座~」

本当はあと 2 回講座が残っていますが、個人的な事情で参加できないので、ちょっと早いですが感想とフィードバックを書いてみます。

今回の講座は立教大学とマイクロソフトが協業してビジネス基礎講座を開発していくという枠組みの中で開催された連続公開講座で私のような一般参加者をも受け入れ、講師陣もまさにエース級の豪華な顔ぶれとなりました。

テーマは一貫して今のビジネスの現場で、どのようなことが起きているのかということと、ビジネスをうまく回すために必要な能力とは何であるのかということを受講者に「気づかせる」ためのきっかけづくりというところに重点がおかれました。

単なる網羅的な知識ではなく、実際のビジネスの現場で効く能力、講座の中では「Passive Knowledge から Active Knowledge」へという表現をしていましたが、あえて言い換えてみれば intelligence と wisdom の差に一貫してスポットが当てられていたように感じました。

内容としてはビジネスの現場での事例を紐解いて、それぞれの課題にどのようなアプローチで、どのような思考で、どのようなツールを使って、どのように表現して乗り越えていくのかという社会人の立場では非常にリアリティあふれるものであったように思います。就業経験のない学生さんにとっては雲をつかむような話もあったのかもしれませんが、社会に出て1~2年目にこの講座の内容を思い出すと非常に役立つものではなかったかとおもいます。逆に社会人1~2年目の方にはベストマッチだった内容だった気がします。

今回は講師陣がマイクロソフトということもあり、当然のことながらマイクソソフトの Office 製品がデモなどで多く使われましたが、「単に使えれば良い」ということではなく「効率的に仕事をやる」ためにうまく使って欲しいというメッセージが随所に織り込まれていました。

今回の講座を受けて、以前総務省が 2001 年に「IT講習会」と銘打って全国津々浦々で講習会を実施したものの、デバイスやソフトウェアの機能説明に終始していて、「セミナーのばら撒き」状態でちょっと違和感を感じていたことを思い出しました。

ツールを使うことと、仕事をこなすことのどちらに焦点をあてるのかというのは非常に大きな差があるように感じます。ちょっと言葉で表現すると

  • Excelを使って仕事をする
  • 仕事を効率的にこなすためにExcelを使う

この2つの文の発想の違い、それが Passive Knowledge と Active Knowledge の違いなのではないかと思います。

日々「Excel方眼紙」で仕事をされている方、あなたの発想は本当に「Active Knowledge」ですか?

2012年6月8日金曜日

Ubuntu Magazine Japan vol.08 がもうすぐ発売!

3月に不肖長南が「商業誌デビュー」をしてしまいました、 Ubuntu Magazine Japan ですが、例によって「中3か月」の安定ペースで、最新号となる vol.08 が、この 6/11 月曜日に発売されます。

vol.08は6月11日月曜日発売です!

と、この記事を書いたということでお察しの通り、今回も執筆陣のメンバーに加わり、Q&A特集の一部について寄稿させていただきました。記事の分量としては前回ほどではありませんが、お楽しみいただければ幸いです。

今回の目玉はなんといっても 12.04 LTS 特集で、付録には「12.04 LTS 日本語Remix & VHD 仮想HDDイメージ付き」の DVD-ROM が収録されます。また、イマドキの Ubuntu のフィーチャーの中でまだまだ評価されていない Unity や Lens、 12.04 LTS で初お目見えの HUD といったギミックについても解説、そしてサーバー監視ノウハウや翻訳でのプロジェクト貢献、さらに毎号安定の珠玉の連載もということで、トータルで楽しめる内容になったのではないかと思います。

また、今回は 6/11 月曜日の発売ということで、配本流通の関係でお近くの本屋さんに並ぶのがちょっと遅れた地方があった前号とは違い比較的早い段階で手にすることができるのではないかと思います。発売日(もしくは配送の関係でちょっとだけ遅れるような地域の方は、それなりにいい感じの日)には、ぜひお近くの書店でチェックしてみてくださいねっ !

2012年5月版 「さくらのVPS」 Ubuntu Server ガイド

Code Jam やその他モロモロでおくれにおくれ、「さくらのVPS」の移行優遇策も時期的にスルーしてしまったのですが、「さくらのVPS」を、最新の Ubuntu Server 特に 12.04 LTS で使いたいという需要があるのではということで、2012年5月版と言うことで、過去に書いた記事を現在の状況に合わせて再度書いてみたいと思います。

サーバー要件の調査


何事にも計画を立てるということは大切なのですが、サーバーを構築するのでも計画を立てて、要件を詰めておく必要があります。10.04 の時の記事の再掲になりますが、
  • ホスト名
  • DNSドメイン名
  • DNS FQDN名
  • IPアドレス
  • ネットマスク
  • ルーティング情報(デフォルトゲートウェイも含む)
  • DNSサーバ指定(複数指定されていればその全て)
  • DNSサーチドメイン名
  • NTPサーバ
の各項目を調べておいてください。「VNCコンソール」については当時ベータ版扱いでしたが、今では正式なサービスとなっているので、こちらを使うとよりイメージしやすいかもしれません。

カスタムOSインストールが便利


この記事を書く段階では「カスタムOSインストール」には Ubuntu 12.04 LTS がまだ用意されていなかったのですが、さすが LTS というだけあって、6/7 には利用できるようになりました。



試しに「カスタムOSインストール」でインストールしてみましたが、パッケージの選択が「さくらのVPS」の標準OSの CentOS に準拠して、最初から OpenSSH が立ち上がっている状態となりました。深いことは考えずにこれを利用してみるのもいいかもしれません。

ただし、普通のPCと違っていきなりインターネットに接続している(VPSですからあたりまえですよね)ので、即刻 ufw や OpenSSH の設定を見なおしておくと良いと思います。

この辺のノウハウは Ubuntu Magazine Vol.07 で徹底紹介していますので、参考にしてみると良いでしょう。

Ubuntu Magazine はもうすぐ最新号の Vol.08 が出る予定ですから、もうしばらくするとバックナンバーのPDFファイルが編集部で公開される予定なのでそちらをチェックしてみても良いかと思います(言うまでもないことですが、グラビアなどの公開されない記事もあるので実物を購入するのも選択としてアリです)。

ガチで最小構成でインストールする場合には


現在は「さくらのVPS」の「カスタムOSインストール」で 12.04 LTS がインストールできるようになりましたが、『ガチで最小構成でインストール』するためには、ネットワークインストーラーを入手し、Grub から起動する形でインストールを進めます(ただしネットワーク資源的にはミラーサーバーから必要なものを適宜ダウンロードするので「カスタムOSインストール」のほうが無難かもしれません)。

 

Ubuntu 12.04 LTS amd64 のネットワークインストーラーの入手


具体的にネットワークインストーラーを入手するわけですが、 12.04 LTS のコードネームは Precise Pangolin ですので、標準OSのCentOS上で、

# mkdir /boot/ubuntu
# cd /boot/ubuntu
# wget http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/dists/precise/main/
       installer-amd64/current/images/netboot/ubuntu-installer/amd64/linux
...
# wget http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/dists/precise/main/
       installer-amd64/current/images/netboot/ubuntu-installer/amd64/initrd.gz
(URLが長いので折り返しましたが、この部分は1行で続けて書いてください)

としてダウンロードします。 標準でインストールされる CentOS 6.2 構成でカーネルや initrd などを起動時に読み出す /boot パーティションを間借りするのがコツです。

設置したネットワークインストーラーの起動


この辺は以前の記事と同様の操作で、リブートして、Grub のコマンドラインから設置したインストーラーを起動することになります。

# reboot

として再起動し、Press any key to continue と出てくるので何かキーを押し、その後 Booting CentOS と出たところでも再度何かキーを押して、Grub のメニュー画面を表示させます。さらに Grub のメニュー画面では 'c' を押してコマンドラインモードに移ります。





Grub のコマンドラインでは

grub> root (hd0,0)
grub> kernel /ubuntu/linux
grub> initrd /ubuntu/initrd.gz
grub> boot

としてネットワークインストーラーを手動起動します。


以前の記事のくり返しになりますが、キーボードは us モードになっているので、一般的な日本語キーボードでは開き丸カッコは Shift + 9 、閉じ丸カッコは入力できないので root (hd0,0 とここまで入力したところで TAB キーを押して閉じ丸カッコを補完させます。また、kernel の部分についてはVNC コンソールを使う前提であれば、特にオプションを指定する必要はありません。kernel や initrd のところでもファイル名については TAB キーによる補完が効くので、適当なところまで入力した後に TAB キーを押してとっとと補完させておくのがスマートです。

うまくいくとインストーラーが起動します。

Ubuntu のインストール


あとは画面に従ってインストールを進めていくことになります。この辺はもういつもと同じ感じということで、Ubuntu Magazine Vol.07 を参考にしましょう。

コンソール環境の整備


ネットワークインストーラーからインストールした際にもコンソール環境の設定をしておくと、VNCだけではなく「リモートコンソール」からメンテナンスができて便利かもしれません。/etc/init/ttyS0.conf や、/etc/default/grub を必要に応じて編集し反映させておくといいでしょう。なお、以前記事で書いたような、/usr/sbin/grub-mkconfig や /etc/grub.d/00_header への修正は必要なくなったので、ご安心を。

/etc/init/ttyS0.conf

# ttyS0 - getty
#
# This service maintains a getty on tty1 from the point the system is
# started until it is shut down again.
 
start on stopped rc RUNLEVEL=[2345] and (
            not-container or
            container CONTAINER=lxc or
            container CONTAINER=lxc-libvirt)
 
stop on runlevel [!2345]
 
respawn
exec /sbin/getty -8 115200 ttyS0

/etc/default/grub

# If you change this file, run 'update-grub' afterwards to update               
# /boot/grub/grub.cfg.                                                          
# For full documentation of the options in this file, see:                      
#   info -f grub -n 'Simple configuration'                                      
                                                                                
GRUB_DEFAULT=0                                                                  
# GRUB_HIDDEN_TIMEOUT=0                                                         
GRUB_HIDDEN_TIMEOUT_QUIET=false                                                 
GRUB_TIMEOUT=5                                                                  
GRUB_DISTRIBUTOR=`lsb_release -i -s 2> /dev/null || echo Debian`                
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet"                                              
GRUB_CMDLINE_LINUX="nosplash console=tty1 console=ttyS0,115200n8r"              
GRUB_SERIAL_COMMAND="serial --unit=0 --speed=115200 --word=8 --parity=no --stop=1"                                                                              
                                                                                
# Uncomment to enable BadRAM filtering, modify to suit your needs
# This works with Linux (no patch required) and with any kernel that obtains
# the memory map information from GRUB (GNU Mach, kernel of FreeBSD ...)
#GRUB_BADRAM="0x01234567,0xfefefefe,0x89abcdef,0xefefefef"
 
# Uncomment to disable graphical terminal (grub-pc only)
#GRUB_TERMINAL=console
GRUB_TERMINAL="serial console"
 
# The resolution used on graphical terminal
(以下省略)

なお ntp や OpenSSH、 ファイヤーウォールなどの設定についてはUbuntu Magazine Vol.07以前の記事を参考にすると良いでしょう。

2012年6月5日火曜日

Google Code Jam 2012 結果ご報告

ご無沙汰しております。引越し後の東京の生活にもようやく落ち着いてきたところでございます。

といっても仕事以外の部分で引き続き半死半生な感じでありますが、それに耐え得るだけのものを身に着けたい今日この頃です。

さて、今年も Worldwide な Google Code Jam 2012 に参加いたしました。参加日程に詳しい方はこのエントリを今の段階で書いている段階で結果はもうお分かりかと思いますが、Round 2 まで進むことができました。内容というよりも開催時期が引越しをやろうという時期に重なって非常にしんどかったです。今となっては予選のあたりは遠い昔の出来事にも思えるのですが、だらだらと振り返ってみたいと思います。

予選 4/14(土) 8:00 ~ 4/15(日) 9:00 (25時間, 以下時刻はすべて日本時間)

身辺整理タスクが積み上がり、落ち着いてコードを書けるような状態ではなかったのですが、予選で時間も余裕があり、気分転換もかねてゆるい感じで取り組み、45 ポイント 6876 位で通過できました。「全部解けるくらいでないとお話もならないよな」とも思いましたが変に追い込むと心が折れそうなのでこれでよしとしました。

Round 1A 4/28(土) 10:00 ~ 12:30 (2時間半)


Round 1 は 1A, 1B, 1C の3回に分けて開催され、それぞれの上位 1,000人が勝ち抜け、合計3,000人が Round2 に進出できる仕組みです ( 一度勝ち抜けが確定すると他のラウンドには参加できません )。 過去2年間、イベントなどとバッティングして不戦敗してしまうということが続いていたのですが、今年も案の定、ニコニコ大会議にぶつかってしまいました。ニコニコ大会議のエンジニアトラックを冷やかし、necomimi を入手するため、 1A は不戦敗になりました。

Round 1B 5/6(日) 1:00 ~ 3:30 (2時間半)


ということで、勝ち抜けるためには、1B、1Cのいづれかという状況になりましたが、ゴールデンウィークは引越し元の事務処理などの都合で出先のビジネスホテルでの参加を余儀なくされました。時間帯的にも深夜で厳しいのですが、43 ポイント 693位で通過。ここまでくると時間内に問題を全部解くには力が届かなく、なんとか Problem C を Small Large 両方通し勝ち抜けることができました。

Round 1C 5/6(日) 18:00 ~ 20:30 (2時間半)


1B で通過してたので 1C は不参加ということになりますが、この日は竜巻の被害が出た日で交通機関は大混乱となる状況でした。結局ふたをあけれてみれば 1B のワンチャンスをなんとか拾った形となりました。

Round 2 5/26(土) 23:00 ~ 25:30 (2時間半)


ということで、自己ベストの Round 2 ですが、問題も難しくなり、また手強いライバルがひしめくなか、上位500位で勝ち抜け、1,000位でTシャツ獲得という条件でしたが、全く程遠い結果となりました。かろうじてボウズになることは避け、5 ポイント 2,082 位となり、ここで脱落となりました。

今年の挑戦を通じてふりかえってみると、コンディションが整っている状況とはお世辞にも言えないなか、泥沼的にくらいついてなんとか絞りだしたシリーズだった気がします。「あの時、あの問題をもうちょっと勉強していれば解けたかもしれない」問題があった気もしますので、今後の課題にしていきたいと思います。

こんなへっぽこ野郎でしたが、折にふれ、陰ながら応援して下さった皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。

2012年4月23日月曜日

東京に引っ越しました

さくらのVPSの移行ねたを書くと予告しておきながらまったく手がついていなくてゴメンナサイ。

手がつかない理由が実はあって、この4月に転職と引っ越しをして東京に住むことになり、その関連の様々な事々をこなすことに追われておりました。

この界隈では「転職したらブログを書く」という風習があるようですが、私の場合はそんな大それた仕事をしてきたような自覚は全くないので、あまり多くは語らないことにします。とはいえ、前職ではスタッフの皆さんやお客さんには非常にお世話になったことは事実で、この場を借りて御礼申し上げます。また、新しい職場の皆さんや Ubuntu , Android をはじめとしたコミュニティの皆さまにはこれからどうぞよろしくお願いします。

なぜ東京にという疑問をお持ちの方もおらっしゃるのではないかとは思いますが、より洗練されたもの、クールなもの、面白いものを追い求めるためには、やはり人が多く集まるところで仕事を含めた活動を行うのが自然な流れです。この辺の話題は 2010 年の OSC 仙台での LT で喋った内容が今でも自分の中に生きていて、色々なチャレンジをするためには東京に移住する必要があるという考えを持っていることが大きいのではないかと思っています。


このブログや Ubuntu での活動は徐々に元に戻していきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

2012年4月9日月曜日

「さくらのVPS」サービスプラン全面改定

皆様お久しぶりです。長南です。Ubuntu Magazine そして Ubuntu Weekly Recipe の記事公開から地味に色々忙しくなってきておりますが、なんとか生きております。

さて、各種ニュースなどを通じてもうすでにご存じの方も多いと思いますが、「さくらのVPS」のサービスプランが全面的に改定され、お得度がさらに増しました。

このblogでも 「さくらのVPS 512」を使った Ubuntu Server 構築を話題にあげてきましたが、本気で契約を見直したいくらいの内容となっています。


 プラン名  初期費用 月額費用 メモリ  HDD CPU 
(旧)さくらのVPS 512 0円 980円 512MB 20GB 仮想2コア
(旧)さくらのVPS 1G 2,980円 1,480円 1GB 30GB 仮想2コア
(旧)さくらのVPS 1.5G 4,980円 1,980円 1.5GB 50GB 仮想2コア
(旧)さくらのVPS 4G 9,980円 3,980円 4GB 120GB 仮想4コア
(旧)さくらのVPS 8G 19,800円 7,980円 8GB 240GB 仮想4コア
(新)さくらのVPS 1G 0円 980円 1GB 100GB 仮想2コア
(新)さくらのVPS 2G 1,980円 1,480円 2GB 200GB 仮想3コア
(新)さくらのVPS 4G 5,980円 3,980円 4GB 400GB 仮想4コア
(新)さくらのVPS 8G 9,980円 7,980円 8GB 800GB 仮想6コア


さらに、現在VPSを使用しているユーザについても乗換え優遇策として
  • 新プランの利用料金を最大1か月無料
  • 年払いユーザの場合、旧プランの6月からの利用料金相当額を返金
という優遇策も実施されるということです。ただし、年払いの場合は4/20までに新プランでの申込・入金、既存プランの解約手続きが済んでいるが条件です。また解約した既存プランは5/31でサービス廃止となるので、乗換えをするなら比較的早急に引越し作業を行わないといけないことになります。

私も 「さくらのVPS 512」を年払いで使っていて、今回のサービス改定でどうしようかちょっと悩んでいたのですが、今回の優遇策に乗って新しい 2G プランに移行することにいたしました。

あまりクリティカルなサービスを提供しているわけではないのですが、サーバー引越しについても興味を持っている人は多いのではないかと思いますので、忙しいのですがまた半連載状態でヌルく書いていきたいと思います。

( Ubuntu Weekly Recipeで何か原稿やネタを出せという圧力を感じますが、ネタの神が降りてくるまでしばしお待ちください。さすがに「さくらのVPS」ネタを書いたとしたら、掲載途中で乗換え優遇策の期限が来てしまいますので... )

2012年3月19日月曜日

【カイミラ】 購読御礼:Ubuntu Weekly Recipe にも参戦いたしました【魔法の杖】

みなさんこんにちは。
最近 Ubuntu がらみで皆さんの目に触れることが多くなってきた長南でございます。

すでに「オマエやり過ぎだろ」感は漂っている気もいたしますが、先週公開されました技術評論社のウェブメディア gihyo.jp ADMINISTRATOR STAGE の Ubuntu Weekly Recipe にも登場することになりました。

第214回 春休み特別企画・赤外線リモコンを使う,あるいは「Ubuntu魔法使い」になる方法

記事を読んでいただくと多分お分かりになるかと思いますが、「カイミラの魔法の杖」を使うためだけに lirc 周りの調査と実験をやって、挙句の果てに記事まで書いてしまうという本末転倒なことをやりました。実際に手を動かすことまでやらなくても、「こんな変なことをやってるヤツがいるらしい」程度でもかまいませんのでお楽しみいただければ幸いです。

ということで、記事ではちょっと触れることができなかった補足をだらだらと書いてみます。

Windows Media Center リモコンについて


記事の中では IO-DATA さんの GV-MC7/RCKIT を使って説明いたしましたが、ご察しの通り「Windows Media Center 対応」というのがキーワードになるようです。以前は制御に使えるレシーバーが何だ機種やチップは何だとか、最悪は電子工作をしてということが言われていた分野でもあったので、Windows Media Center が出て色々なリモコンやレシーバーが出現し、lircでもサポートされた現在は格段に取り組みやすくなりました。

とはいっても、Windows Media Center のように レシーバーを USBポートに挿し、リモコンに電池入れるだけという手軽さからすると使えるように地ならしをするのが大変だという事情は残っています。この辺は「手軽さ」をとるか、「デバイスをhackしているぜ的な体験」を取るのかという違いなのではないでしょうか。

また、実験すらしていないのですが、記事で取り上げた lirc は Windows 上の実装もあるようなので、Windows Media Center 以外のネタも Windows で扱うことができるのではないかと思います。もちろん Windows Media Center で充分だという方は何も考えずにカイミラ杖に信号を学習するだけの話になってしまいます( そこまでくると Ubuntu とか関係ありませんね )。

ハードウェアについては、入手性を無視すれば秋葉原で売っている廉価なリモコンキットあたりでも同じようなことができるかと思いますので、もしやってみようという方で入手経路がある人は安いリモコンキットを使ってチャレンジしてみるのも良いでしょう。

ELPAかんたんリモコン RC-29D について


記事の最後に、いわいる「汎用リモコン」を使う話を書きましたが、これは「リモコンの信号解析に挫折した際の最後の手段」として紹介した形になります。すでにレシーバーを含めた lirc での受信環境ができていることを前提として書いたのですが、その部分についての説明が足りてないことを記事が公開してから twitter で指摘していただきました。このツメの甘さは大きな反省点にしたいと思います。

赤外線リモコンをPCで扱うということ


今回は「杖ドリブン」ベースで赤外線リモコンを扱いましたが、同じ赤外線を使うものでも IrDA、無線技術なら NFC, BlueTooth, Wifi と「今」の技術がたくさん出てきています。それぞれの技術でそれぞれの特質がありますが、技術の新しさ古さに関係なく、面白いものには挑戦してみる、そういったマインドセットを持つことができれば、もっと面白い何かが出てきそうな予感がします。

2012年3月8日木曜日

Ubuntu Magazine Japan Vol.7 が発売されますよ!

去年の秋に1年3か月ぶりの復活をとげた Ubuntu Magazine Japan ですが、最新号となる vol.07 が「中3か月」の定常ペースに戻った上に、Ubuntu Magazine 初のサーバー特集をひっさげて、この 3/9 に発売されます。

「vol.07は3月9日金曜日発売です!」 ~ Ubuntu Magazine Japan

と他人行儀に紹介してみましたが、現在発売中の「週刊アスキー」内のUbuntu Magazine広告ページをご覧になった方にはお気づきの通り、前回の紹介記事で「時間の問題だ」といわれていた、おやくそくネタが見事に炸裂(?)し、今号のUbuntu Magazine のバックアップ記事と、Q&A特集(の一部)について寄稿させていただきました。誤解を招く言い方をあえてさせていただけるのであれば

「商業誌デビュー」でございます
(同人誌制作に携わったことないのに「商業誌」という言い方をするのはいかがなものかと...)

先輩ライターの皆様や、編集スタッフの皆様、そしてその他お世話になった皆様にはこの場を借りて御礼申し上げます。また書店で目にされた皆様におかれましては実際に手にとっていただければ幸いでございます。

「サーバー特集」ということではありますが、いつもの Ubuntu Magazine テイストはそのままに、よりディープなネタを堪能できる内容となっている(はず)なので、「サーバーはちょっと」という人でも話のネタだけでも楽しめるのではないかと思います。

また、今回の付録はからくちなデザインでカッコよく職場で使っても同僚の目線を気にする心配のない Ubuntu マウスパッドが付録としてついてくるので、実用性もバッチリでございます。3/9の発売日(もしくは配送の関係で遅れるような地域の方は、それなりにいい感じの日)には、ぜひお近くの書店でチェックしてみてくださいねっ !

2012年2月20日月曜日

「世界で通じる」ということ

先週の木曜・金曜に目黒雅叙園で、今年で10回目を数える、 Developers Summit 2012 (デブサミ) が開かれました。この「デブサミ」は一昨年に OpenSolaris のコミュニティでLTに参加した程度で今回は参加できなかったのですが、当初から「とりあえず10回やってみよう」ということで年々続けてきて今回がその10回目で大いに盛り上がったとのことで、参加できなくてちょっと羨ましい感じがします。

及川流の重いパンチ


そのデブサミの今回のテーマが「10年後も世界に通じるエンジニアであるために」ということだったのですが、Google の及川さんがふと疑問に思い twitter に

素朴な疑問なのですが、 #devsumi の「10年後も世界で通じるエンジニアであるために」って現在すでに世界で通じるエンジニアであるという前提ですね?
twitter - @takoratta

というつぶやきを残したんですが、これがまた「及川流の重いパンチ」で、誤解を生みそうな文面の割にリツイートされるだけで炎上することがなかったという話題が、はてなダイアリーのほうに書かれています。

Hatena Diary - Nothing ventured, nothing gained.

また、Google+ のほうでも「世界とかかわるってどういうことだろう」ということで話題が盛り上がった( こちらとかこちら )上に、はてなの記事では、以前公開した OpenSolaris LiveUSB Creator のエピソードまで取り上げていただきました。

「世界に通じるエンジニア」って存在するの?


正直なところ、ワタクシ長南が現在であろうと10年後であろうと「世界で通じるエンジニア」であるのかということであれば、全く自信なんて持てません。それなりに努力はしているつもりなのですが、やればやるほど次の目標が見えてくるわけでして、よっぽどユニークな感性を持ってないと「世界で通じるエンジニア」と公言できる人はいないんじゃないかと思います。

「通用するかしないか」という問題を考えだすとどんどん凹んでしまうのでこの議論はやめといて、じゃあ「世界とかかわる」って一体どういうことなんだろうということを考えてみたんですが、通信やインターネットの世界での一番の醍醐味って
いろんな人とコミュニケーションできる
ということなのではないかなと思うのです。それこそパソコン通信・電子メール・NetNews・Web・2ch・mixi・twitter・facebook・Google+といろんなサービスを通じた「場」があるわけですが、それを通じてリアルに顔を見たこともない人と友達になったり喧嘩したりなれ合ったりと、そういうことをずっとずっとやってきたように思います。

今ほどネット技術が普及していなかった時にはそれこそエンジニアの特権みたいなところがあったのですが、こういった技術がなかったら生活範囲内での人達としか知り合うことができなかったわけで、ある意味それだけでも画期的なことだと思います。

今はみんなスマホ持ってますし、ちょっと好奇心の幅を広げれば容易に世界とつながることができる時代になったんじゃないかなと思うのです。必要なのはちょっとした英語と一歩踏み出す勇気だけ。

簡単なところからはじめよう


ひとつ例を出したいのですが、昨年大きな話題になった「魔法少女まどかマギカ」というアニメがあるのですが、日本でも話題となった Doctor Dazza さんのレビュー動画を見てほしいんです。


はっきり言って何言ってるかわからなくても、ものすごい情熱を持っているのは伝わってくるわけでして、個人的に Doctor Dazza さんは twitter でフォローさせてもらっていて、日本でもこんなキャラクターが人気だみたいな、そういったどうでもいい話をしたことがあります。

「世界に通じる」とか書くと遠大な目標のように見えるのですが、はじめからラスボスと戦うようなことをしなくても、こういったところからコミュニケーションをはじめてみるのも悪くないと思うのです。

特に Facebook や Google+ では「いいね!」とか「+1」ボタンなんてあるわけですし、とりあえず面白いもの見たら「いいね!」「+1」を押してコメントで「 Cool ! 」と、こんなところから始めればいいような気がします。

日本に関心を寄せている人って実は僕達が想像しているよりもずっとずっと多いわけで、言葉は英語でアウェイでも話題がホームであれば案外なんとかなるような気がします。むしろ個人的には日本語であっても話題を紡ぎ出すのが難しい婚活パーティーとかのほうが辛いです。

「日本人だ」という話題を種にして、日本に興味を持ってくれている、仲良くなれそうな人をターゲットに twitter やら facebook やら Google+ やらでなれ合ってみるというのが良いかもしれません。

コミュニケーションってすばらしい


私なんか「世界とつながる」という意味でもマダマダなのですが、それでも昨年の震災のときには、国内の知り合いよりも先に Twitter で、
「chonan, 日本でデカい地震あったがオマエ大丈夫か?」
というメッセージをいろんな人からもらって本当に驚いた経験があります。実際リアルで会う機会がなかったとしてもここまで心配してもらえるというのはホントに恵まれているのかなとも思ったことがあります。ちょっとした勇気と好奇心を発揮するとここまで世界が開けるということで、エンジニアリングとかそういう真面目な部分じゃないところであっても「世界とつながる」ことって素敵なことなんじゃないかなと思います。

本当に必要な語学力はあとから付いてくるくらいの勢いで、まずは「世界とつながる」ことに挑戦してみてはいかがでしょうか。プログラミング言語ひとつ学習するくらいの気軽さで。

2012年2月10日金曜日

【購読】 「行っとけ! Ubuntu道場!」に出演させていただきました【御礼】

皆様こんにちは。長南でございます。

ってあらためて名乗ってもしょうがない部分もございますが、今回「ASCII.JP x デジタル」さんの人気 Ubuntu コンテンツ「行っとけ! Ubuntu道場!」に出演させていただきました。道場からおまわりいただいた方、ありがとうございます。影響とかよく把握しているわけではないのですが、ちょっとこのblog記事でひとり反省会開いてみたいと思います。

行っとけ! Ubuntu道場! ― 第53回 ~師範、Ubuntuのヘビーユーザーってどんな感じでしょう?~

Ubuntu の Japanese Team の皆さんとは主に twitter 方面で楽しくバカな発言を繰り返して、道場の記事が公開されたら無茶ぶり tweet を飛ばしつつキャッキャウフフしていたのですが、気がついたらなぜか道場に出演する流れになってしまいました。どうしてこんなことになった感が充満しているような気がしますが、ネタ的に面白いので深く追求はしないことにします。

私としては、あまりネタを狙わずに自然体で臨んだつもりだったのですが、皆様より「濃ゆい」とお褒めのお言葉をいただいて恐縮しているところです。

ufw は感動して以前このblogでも取り上げましたし、分野にもよるんでしょうけど、コンピュータでクリエイティブなことやろうとすると、コード書くためにエディタとか、文章書くためにエディタとか、その裏でコンパイルとか tex 整形するんでターミナルとか、そういったことやるわけですし、最近のマシンは(仮想でも実体でも)CPUたくさん詰んでるので同時にバンバン仕事させることができてハッピーだよねーって日常を吐き出しただけだったりするのですが、その辺が「濃ゆ」いように見えたんでしょうか。

あとこれは避けては通れないのですが「元Solarisユーザ」という紹介のされ方にかなり困惑された方がおらっしゃったようです。どうしても「なぜ宗旨変えしたんですか」的なことになるのは仕方ないのかなと思います。あとデスクトップ画像については収録後ネタ追加でということでリクエストもらってネタ追加という流れだったのですが、昔Solarisでのデスクトップ画像ねたを書いたことを思い出してちょっと再掲してみたいと思います。


いつもどんな環境で作業してるかというと… ~ ハレとケガレの weblog 本店 ( 2007/3/20 )


Solaris のスクリーンショットのネタは 2007 年の画像で何を狙って取ったのか忘れかけましたが、標準で Flash プレイヤーとか StarSuite とか ATOK とか Wnn あたりが入っててスゴイんだぜみたいなことを狙っていたような気がします。音が出ないのは自分でドライバでっちあげて音出るようにしたのでネギまわしの元ネタ動画も再生できるぜとか、vi ではなく emacs の画面が出ているのは IRC チャットの画面出したかったんではないかと思います。

その当時の Linux デスクトップはまだここまでキテる状況ではなかったのですが、今現在の状況をみると、普通に Flash 再生できるようになったというか HTML5 がキつつある状況だし、今のUbuntu なら IRC とか twitter はデスクトップ右上の Me Menu から扱うことができるようになったし、日本語入力の mozc はかなり優秀だし、最新ブラウザの Chrome だってちょっとした手間で導入できるし、オフィススイートが必要なら LibreOffice 導入して使えばいいしということで、少なくとも普段使いの道具としては商用ソフトの黄金打線だった当時のSolaris環境を完全に凌駕している感があります。

もちろんOSの優劣を語るのにデスクトップ環境というのは単なる要素にすぎないし、歳晩期の OpenSolaris でも色々な努力が続けられてきた点や、ZFS、dtrace といった要素や UNIX の本流を担う気概を垣間見ることがあったりしたわけですが、今の体制でそれがあるのかということになるとちょっと厳しすぎる点があるのではないかと率直に思います。

ちなみに方向性が全然ちがうけども今回の記事のターミナルばんばんなスクリーンショットも再掲します。

行っとけ! Ubuntu道場! ― 第53回 ~師範、Ubuntuのヘビーユーザーってどんな感じでしょう?~

こっちは最近の作業環境に近い部分をということを狙ったのですが、ターミナルに出ている文字に秘密にしとかなきゃいけないものが入ってたりするとヤバそうだということで、あたりさわりのなさそうなネタを仕込んだ感じです。

右上のやつとその背後のものはITとは全く無関係のしかも没原稿とそのPDFプレビュー、左上は tex のソースファイルから pdf ファイル生成するまでのやっつけ Makefile、左下は GCJ の練習問題を解くコードを編集している風、右下は Project Euler あたりのやつというネタ構成なはずです。競技プログラミングと非ITな日本語の文章を同時に編集するのはなかなかシュールなのですが、そこはご愛嬌ということにしていただければと思います。実際扱うネタが違うだけでいつものデスクトップっぽい感じではあります。

今後 Ubuntu 道場のネタがどうなっていくのかは誰にも予想できない部分がありますが、私が出ても出なくてもネタの仕込みはぬかりなく進んでいくのではないかと思います。

最後に、道場の収録と記事の間のギャップ、すなわちネタ化がどのくらいなのかということが気になる人がいるのではないかと思いますが、これは

「次は君が出演して確かめよう!」

と華麗に逃げを打っておきたいと思います。自分はまだまだヌルいユーザーなのに「ヘビーユーザー」って看板負けしてるよなーとか思う今日この頃でございました。

2012年1月5日木曜日

[python] 配列の隣接する2項にそれぞれ演算を施す

Twitter 経由でお題が流れてきました。オリジナルは
で紹介されているのですが
配列の隣接する2項にそれぞれ演算を施した配列を得たい。つまり、
f (+) [1,2,3,4,5] = [3,5,7,9]
のような f が欲しい。
というお題です。 perl や javascript では
や、python では
というエントリがすでに上がっていますが、 python の場合よく考えたら一番短い入力で止まるイテレータである itertools.imap() を使わなくても入力リストは引数で与えられているわけですから、本質的には

def mapBetween( list, func ):
    return map( func, list[:-1], list[1:] )

ということになるのではないでしょうか。この辺の処理を非常に強力に記述できるのは python の特徴であるかと思いますが、ここまでくると、ほぼ標準装備といっていいような気がします。

あとは形ばかりのエラー処理(ひどい)なんかを入れて

#! /usr/bin/env python
# -*- coding: utf8 -*-

import operator

def mapBetween( list, func ):
    try:
        return map( func, list[:-1], list[1:] )
    except:
        # Todo: Implement error handling
        return []

def main():
    a = [1,2,3,4,5]
    print a
    print mapBetween( a, operator.add )
    print mapBetween( a, operator.sub )
    print mapBetween( a, operator.mul )
    print mapBetween( a, operator.div )
    print mapBetween( a, lambda x,y: y%x )

if __name__ == '__main__':
    main()

と書くと良いような気がします。実行結果は

[1, 2, 3, 4, 5]
[3, 5, 7, 9]
[-1, -1, -1, -1]
[2, 6, 12, 20]
[0, 0, 0, 0]
[0, 1, 1, 1]

となります。

世の中には色々なプログラミング言語がありますが、適材適所で便利なものを選びたいですね。

新しいブログのご紹介

ということで新しい 2012 年がスタートしたわけですが、この新年に新しいブログが立ち上がりました。




Masafumi Ohta さんとは実は OpenSolaris のコミュニティで知り合い、EeePC に OpenSolaris を載せてしまう Hack で世界中に名前を轟かせ、海外のイベントやコミュニティにも積極的に参加してきた非常にアクティブな方でございます。当時私も OpenSolaris LiveUSB Creator でにわかに世界的にブレイクしてきたこともあり、意気投合してことあるごとに議論を交わしてきました。

OpenSolaris そのものについては不本意ながらプロジェクトそのものが崩壊してしまいましたが、その後も折にふれこの業界の動向やエンジニアとしてどのように生きればよいのかといったことを議論したり、OSCなどのイベントでは一緒に結託してしょうもないネタをかましたりと、いろいろツルんでいたりします。

そのような Masafumi Ohta さんですが、pid0.org ブランドで待望の日本語からくち(?)ブログ開設、しかものっけから官僚のお話と非常に興味をそそられる部分がございます。

このブログのグダグダなテイストに飽きたらぜひ「昨日の明日のために。ていう名前のブログ」もチェックしてみてください。

2012年1月2日月曜日

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

昨年非常に印象的だった出来事はいうまでもなく東日本大震災であることは間違いないのですが、震災そのものよりもその後一体何ができるのかというのを何度も考えさせられる、そういった年であったと思います。そのような中で Hack for JapanA3 TOGETHER などを通じて志のある方々と知りあうことができた年であったのではないかと思います。もちろんこういった活動は年が変わったから終わるようなものではなく継続してとりくまなければならない課題ですので、引き続き注力していきたいと思います。

昨年「ハレとケガレのweblog 本店」の方で2011年の展望を書きましたが、こちらでは IT に関連する部分で 2012年の展望を書いてみたいと思います。

ソーシャルの力


今年は昨年以上に「ソーシャル」という概念が意識される、また意識せねばならない年になるのではないかと考えています。これは Twitter や Facebook のようなソーシャルネットワークサービスがより広まるということ以上に、人と人との繋がりがキーポイントになるということです。 Hack for Japan で私が参加して印象的だったのは、効率であるとかテクノロジといったものよりもニーズを掘り起こしてそれにアプローチをするアイディアを一緒に考え議論するということが非常に大きな役割を果たしてたということでした。

Hack for Japan 自体は震災をトリガーとしたコミュニティではあるのですが、うまくコミュニティが機能しているものは相応の輝きを持っているというごくあたり前のことを再認識させることとなりました。オープンソースのコミュニティでもコミュニティが活きているか否かでプロダクトそのものの輝きが大きく左右されるということを身を持って知りました。

単なる技術的な部分だけでなく、ソーシャルの力、コミュニティをいかに育てていけるのかというのが、この業界の鍵になってくるのではないかと思います。逆にソーシャルやコミュニティが下手なプロダクトやプロジェクトは逆境の時を迎えるのではないかと予想します。

いかに小回りができるのか


小回りがきく手法を身につけるということは今年大きな鍵になるのではないかと思います。震災の復興支援の議論では日に日に状況が変化する中で何ができるのかということが課題となることが多かったのですが、状況に即応するために小回りが利く瞬発力、hacker力というのが色々な場面で試されるそういう段階にきているのではないかと思います。

今までは仮に小回りが聞いたとしてもそれをユーザに伝える手段がなかったり、そもそも小回りどころではないリソースを費やさなければステージにすら立てないという状況でしたが、Android アプリや Web サービスであれば、 Android marketChrome Webstore などを使い、ソーシャルネットワークサービスで告知を行うことで簡単にアプリやサービスをローンチして使ってもらうことが可能な状況になりました。

企画を立案して各所にプレゼンをして資金計画を立てて開発要員も確保してようやく着手するといったビジネスのやりかたが、もしかしたら通用しづらくなってくるのではないかと思います。世の中の動向が安定しているような場合であればセオリーとかしきたりとか今までの成功体験といったものからなんとなくプランを立てることができましたが、そういったものの中に実は根拠のないまやかし的なものが多いことが露呈してしまったこともありますし、復興という名前の変化をより早いスピードで行うことが大切な状況では小回りが利くというのは非常に重要な要素になりうるのではないかと思います。

クールでないものは衰退する


あとは如何に洗練するかというのがプラスアルファで重要になるのではないかと考えています。小回りが利くということそれ自体がクールであるのですが、洗練されたものやより注目すべきものが今後増えてくるのではないかと思います。そのような中で震災前と同じような製品は埋没し市場で評価されなくなっていくのではないかと思います。

ある意味色々なものが出てくるチャンスがでてきた一方で、旧態依然のものは光を失っていくそういう時代になりつつあるのではないかと思います。

そんな中、何がクールなのかという大きな課題が目の前につきつけられているわけですが、そういったものを見分ける感覚であったり実装する能力なにを磨きつつどんどん世に問うことが重要な気がします。

そんなことをやるためのヒントとして、昨年9月にフランスのシューズブランド Palladium が公開したドキュメンタリー動画 Tokyo Rising を貼りつけておきたいと思います。ITについては触れられていませんが、大いに刺激される、私のお気に入り動画です。

Tokyo Rising: Part 1 - Pharrell's return to Tokyo

(Part 2 以降は「もっと読む」からどうぞ)