2016年7月3日日曜日

【CDレビュー】episode 1 -ANGEL- (Brilliant Kingdom)


正面きったホンキのメッセージがこもった渾身の1枚


「淑女ならびに紳士の諸君っ!…」

こんなケレン味あふれるセリフで始まる、ファッションと音楽とストーリがミックスされたシアトリカルイベント「Brilliant Star☆デコレーションズ」を主催する、Triple*fortune のBABIさん、KAIEさんのユニット「Brilliant Kingdom」のデビューアルバムが、いきなりメジャーレーベルでデビューした。その輝けるデビューアルバムを早速入手した。

このアルバムでは歌の他にBGM付きの語りのトラックが入っていて、全トラックを通じてストーリーが展開されているのだが、ストーリーについては読者の方にお楽しみとしてとっておいて、楽曲トラックを中心にレビューしてみたい。

「涙に慄え聖なる許しのキスをしろ」


定番というか王道といってもいい下降進行のサビが印象に残る曲。全編を通じて間奏にはセリフをがっつり入れるという、「これぞBKスタイル」といえる曲だ。BKの、正面切って強くメッセージを伝える姿勢が王道パターンに負けない仕上がりを演出しているのではないか。

「Fallen Angel 〜堕天の誓約〜」


キリスト教というか「堕天」のモチーフをメタルに料理した曲。単にメタルだというだけではなく、Kyrie eleison の部分の2声コーラスは聖歌のようなボイシングをするなど、さまざまなコダワリを感じさせる。圧巻なのは間奏部分の戒めを叫ぶところだ。おそらくモーセの十戒が元で、その中からチョイスした格好だが、うまく宗教臭さを抜くことができた曲なのではないか。

「愛知らぬ我が乙女と」


サビの部分のKAIEさんの美しい歌声が印象に残る曲。アルバム全体を通してテキストパートや歌でもBABIさんが前面に出ることが多い印象がある中で、印象に残った。

「水底天使」


このアルバム中で1番の厨二病歌詞(褒め)で良い意味でぶっ飛んだ曲。さすがに曲を聴いただけでは歌詞のぶっ飛び具合はわかりづらいので、ブックレットの歌詞を見ながら鑑賞するとより楽しめるだろう。疾走感のある曲作りの裏に出現する厨二病ワードにニヤリとしてほしい。

「Bloody Rose」


このアルバムの中では異色のイタリア歌曲のような作りこみが光る1曲。曲が進むにしたがって表情を変えるメロディが心地よく、バックバンドの対旋律もバッチリ決まっている。とはいえイマドキの演出もあり、しっかり盛り上げるのはさすがといったところ。

総評


総合して非常によくまとまった出来のアルバムで、ボーカル・伴奏ともにレベルの高い仕上がりになっている印象を受けた。あえて気になるところを挙げるとするならば、ブックレットのテキストに若干誤字があったりレイアウトに疑問を感じるところがあったくらいだ(なかなか歌詞を聞き取るのが難しいので、ブックレット見ながら聴く人が多いと思われるので少し残念だ)。

またこのアルバムに限った話ではないがライブやブリデコのボーカルパートを通じてmoll(短調)の曲がとても多い印象がある。もちろんキャラクターや構成を考えた上での結果であろうが、裏芸というかボーナス・トラックな位置づけで、BKのdur(長調)な曲を聴きたいところだ。

ともあれ、ブリデコらしさ、BKらしさが遺憾なく発揮されたアルバムだというのは揺るぎないところだと感じられた。BKの世界感をわかりやすく具現化したアルバムで、ブリデコやBKのことを知っている人も知らない人も楽しめるだろう。

( BK-BrilliantKingdom,Triple*fortune 主催「Brilliant Star☆デコレーションズ Vol.11」会場で予約して入手し、このレビューを書きました。 )