2020年6月4日木曜日

8GB版ラズパイ4B発売、そしてケースに悩まされる

みなさん、こんにちは。

ここ数ヶ月は新型コロナ騒動で世の中が大変なことになっていますが、私も 2 か月近くテレワークということで働いています。そして偶数月というと「日経Linux」の発売で今回も記事を書かさせていただきました。

その雑誌原稿が一段落した5月末に Raspberry Pi 4 B の新モデルであるメモリ 8GB 搭載版が発表されました。私は雑誌にラズパイの記事を書いている立場ですから当然のように購入しました。

8GB 版のラズパイについてはこの号の「日経Linux」には間に合わないので、この blog で速報的にお知らせしたいと思います。


Raspberry Pi 4 B は搭載メモリ量が異なる複数のモデルが存在するのですが、外見で判別するのためには、搭載されているメモリチップを見る必要があります。新しい 8GB モデルの場合は、micron の D9ZCL が搭載されているようで、そこが目印になるようです。

また、その他のモデルは、それぞれ

ということになっているようです。メモリ搭載量の異なるラズパイ4をお持ちの方は「メモリチップを見て判別できる」と覚えておくとよいでしょう。

ケースに悩まされた件その1 - Pimoroni PIM463 の場合


せっかく新しいラズパイを入手したので、ケースに収めてしまおうと、Pimoroni のクーペ型アクリルケース PIM463 を準備したわけですが、イマイチうまく組めません。おかしいなーと思って注意深くチェックしたところ、搭載部品の変更があったのか干渉する部分がありました。
公式には「同じ仕様」と言われていてもパーツの変更などでケースに収まらないことは過去にもあり、ケース側の干渉する部分を削って対応しました。

やれやれ、これで一段落ということで、軽く通電して動作確認していたところなのですが、一連のツイートを見ていたのか、Amazon でラズパイのケースセットやモバイルバッテリーを販売している RasTec JP さんから「ウチのケースセットをレビューしてくれ!」と連絡がありました。

ケースに悩まされた件その2 - RasTec JP ケースセット の場合



どういう製品なんだろうということで、Amazon の商品ページをみたところ、アクリル製のケース、ヒートシンク、ファン、ACアダプタのセットで 2000 円程度とお買い得に感じたので実際に購入して確認してみることにしました。

箱を開けるとこんな感じでケースや電源などが入っています。説明書のようなものはプロモーションカードと保証規定の冊子のみで具体的な説明書は入っていませんでした。

まあ、なんとかなるだろうということで、ケース本体を確認するのですが、こんな感じで組み立てられた状態のものが入っていました。

アクリルのケースは Pimoroni で組み立て経験があるのですが、各層の向きや裏表をしっかり把握しないと立体パズル状態になってしまう経験をしていたので、今回はカメラでメモがてら撮影しながら一枚づつ形状方向を確認しました。今はスマホで簡単に写真を撮ることができるのでメモ用にも積極的に使っていきたいところです。

一通り確認したところで組み立てていくわけですが、9層あるアクリル部品はそれぞれ保護シートが貼られた状態 ( 特に透明な層の場合はレーザーカッターで切断できるよう白めの色のついたシートが貼られています ) なので、9層それぞれ表裏の保護シートをはがします。

この保護シートをはがすのが実はなかなか大変で根気のいる作業です。私が作業して感じたコツは

  • 四隅のビス穴周辺を注意深く攻略すること
  • 場合によってはシール剥がしやネイルリムーバーなどを少量使うこと
  • アクリル部品の順序・方向・裏表を崩さないように整理しながらすすめる
  • 時間をかけて丁寧にはがすこと
といったところでしょうか。

保護シートを剥がしおわったら、アクリル部品の下の方からラズパイをはさみながら順次重ねていきます。このケースは黒と透明の部品が交互に重なってミルフィーユみたいな感じがします。


9層全部重ねたところでバラバラにならないようにビスを通しますが、一番上の層にはファンを取り付ける必要があるので、簡単にとりはずしできるように下から仮に通しておくと作業しやすいです。

ファンを固定するビスも付属していますが、金属製のビス・ナットで、ナットを本体上に落としてしまったときにラズパイを壊してしまう恐れがあったので、手持ちのプラスチック製のビス・ナットを使うことにしました。

ファンの向きは丈夫から SoC に対して吹き付ける方向、すなわちファンのメーカー名が内側にくるように取り付けます。ファンの電源は GPIO 端子の 2, 3 番ピンからとります。

各チップにヒートシンクをとりつけて、ファンを固定した一番上の層をセットし、四隅のビスを正しい方向に固定しなおすと完成です。

部品がバラバラにならないように仮どめすることや、一旦逆方向にビスを通すといったちょっとしたテクニックを使うと組み立てやすくなるかと思います。

こうしてケースが組み上がりましたが、ケースそのものがそれなりに高さがあり、ファンの電源を採っている関係から、このままで GPIO 端子に HAT ボードを乗せるのはあまり実用的ではないかもしれません。

GPIO端子周辺は、最上部のパーツに切れ込みが入っているのとフラットケーブルを使って横方向に取り出すスリットがついていますが、ある程度用途が限定されてしまうのは仕方ないところだと思います。

同じような理由で DISPLAY のフレキケーブル端子も外部ディスプレイを固定する方法に苦労しそうな感じです。カメラフレキケーブル端子は事前にケーブルを接続して引き出しておくと有効活用できそうです。

電源は 5V 3A が出力できると表示されているAC電源ユニットがついています。Amazon の商品画面では PSE 認証が通っているものが写真に掲載されていましたが、残念ながら私の手元に届いたものには PSE マークは入っていませんでした。技適にくらべてあまりうるさく言われることが少ない PSE ではありますが、別途電源を準備しておくのが無難かと思います。

電源用の USB ケーブルには押しボタンによる On/Off スイッチがついていて、なにげに便利です。電源、ケーブルともに USB PD には非対応のものですが、ラズパイ専用に割り切って使うのであれば使えないことはないかと思います。

8GB のメモリを持ったラズパイということで、よりPCに近いかたちの使い方をするような場合で電子工作用にしないようなときにはリーズナブルなセット商品だと思います。

ただし見た目以上に組み立ての難易度は難しく、根気のいる作業もあるので、プラモデルを作るようにとまではいいませんが、それなりに時間に余裕をもって丁寧に作業する必要があります。手早くケースに入れたいような方は別の製品を探したほうがよさそうです。

コストが上がってしまうところですが、ファン固定用のビス・ナットはプラスチック製のものを準備してほしい点ではありました。組み立ての準備や段取りを楽しめるような方には楽しめるケースセットではないかと思います。

なお、ヒートシンクについては熱伝導シールで接着する形となっているので、別のケースも使いたいような場合には使うかどうか悩ましいところです。