先週「Googleブランドの独自ブラウザ」と銘打って各IT関連ニュースサイトを賑わしたGoogle Chrome ですが、ちょっと使ってみました。確かに既存のブラウザに比べて動作が速い部分があります。コンポーネントにMozilla Firefox、Webkit、V8エンジンが搭載されているということですが、周知のとおりGoogleは多くのMozillaの開発者を雇っている状況の中であえて新規のブラウザブランドとしてGoogle Chrome を立ち上げたのか、少なくとも何故Mozillaとしての成果をあげる方向に向かわずForkする形となったのかを考える必要があるのではないでしょうか。
この記事によると、Labor Day の 9月1日にあわせてリリースしたといういきさつがあり、あくまでニュースが少ない日を狙って目立つタイミングにあわせたという記述がありますが、だとしても「なぜ目立つ必要があるのか」という疑問が残ります。
スピードにこだわったブラウザだというコンセプトや報道はMozilla関係者としてはやはり面白いものではなく、このような反論が記事となることとなりました。今現在GoogleとMozillaは良好な関係を築いているとされていますが、Googleとしては今の現状に満足などしていないというのが本音なのだろうと思います。私の妄想ですが、これはMozillaを完全にGoogleの手中に収めるための戦略なのではないかと考えています。
Googleに雇用されているMozilla開発者は現状ではおそらく20%ルールの範疇でMozillaの開発を行っているのだと思います。これらの開発者の本業をGoogle Chrome に振り向けると各技術者としては「20%ルールの活動が認められて80%の本業になった」ということになると思いますが、その技術者が残りの20%で引き続きMozillaの開発を行うかというと疑問に思わざるを得ません。ブラウザとは関係のない活動に20%の部分を割き、結果的にMozillaの開発から撤退することになるかと考えられます。
また、先ほどの記事では「MozillaにおけるGoogleとの検索契約が2011年11月まで3年間延長されたことが明らかにされた。これによってMozillaは安定した財政基盤を得ることができている。」と書いてありますが、裏を返せば財政基盤の安定性と引き換えにGoogle依存体質がMozillaにあるということですし、2011年11月というタイミングにしても、2年強かけてブラウザのシェアを奪い、Mozillaとの関係を打ち捨てるかもしくは完全に手中に入れるプランを立てているのかもしれません。
この妄想がどこまで的を射ているのかは全くわかりませんが、単に目立つためだけにこのよなことをする必要は今のGoogleにはあまりないわけですから、少なくとも何か他の意図があると見るべきなのではないでしょうか。
Google Chrome には「シークレットモード」というのがあり、閲覧履歴や検索履歴を記録しないモードがありますが、その説明文では画像に掲げましたが「見張りの秘密諜報員」「背後にいる人」に注意せよとあります。まあGoogle流のジョークなのでしょうけれども、この「見張りの秘密諜報員」「背後にいる人」というのは案外Google自身なのかもしれません。ブラウザの選択が大統領候補の選択なみに政治的経済的な意味を持つ時代が再び訪れようとしているのかもしれません。
そもそも最近のFirefox周辺では便利(?)ツールバーや拡張機能の話題が多く語られることが多いのではないかと思います。かつてFirefoxが始めてリリースされたときはセキュリティとスピードを売りにしていましたが、セキュリティついてはいくつかの脆弱性が見つかったりする経緯でメリットして語られなくなり、スピードについては拡張機能やツールバー、プラグインで相殺している状況に思います。Google Chrome も悪くはないのですが、これに拘らずブラウザ環境の再点検とスリムアップを行う必要があるのではないでしょうか。