2010年8月4日水曜日

Illumos Project のアナウンス

Oracle による Sun 買収から混迷状態が続いている OpenSolaris コミュニティですが、日本時間の 8 月 4 日未明に Illumos Project が 電話会議および Web セミナーでプロジェクトの発表を行いました。発表の内容については Illumos Project Announcement のページにてスライドと音声が利用できるようになっています。

この Illumos ですが、OpenSolaris の基本部分である OS/Net (ON) に対して、コミュニティ主体で完全オープンソースの派生プロジェクトとし、特定企業への依存を排しコミュニティとしてのアイデンティティを保ち、ディストリビューションを作るための最小構成相当のものをリリースすることを目標に掲げています。8 月 4 日の発表では vmware 環境上でのデモも披露され、環境は限定されるものの起動できる状況まで進んでいるようです。

現行の OpenSolaris ON は、確かにコードベースの大部分についてはオープンソースとしてソースコードが公開されていますが、いまなおソースが公開されていないコンポーネントが存在し、そのコンポーネントのバイナリがないと ON のビルドができない状況にあります。また、外部の開発者がコードを寄贈しようとしても権利関係の手続き ( SCA 署名 ) を行った上でバグ登録を行い、メーリングリストで議論するところまではできたものの、実際にコードベースに反映するのは旧 Sun の従業員だという事情もあり、オーナー企業の方針に左右されやすいという問題も内在していました。

また、ON についてのこういった問題は現在すでに派生プロジェクトとなっている Nexenta, BeleniX, Schillix, berliOS といった派生OSのプロジェクトメンバーにとっても重大な問題となっていたのではないかと思います。

Oracle による買収の後、OpenSolaris コミュニティへの Oracle のかかわりが非常に希薄となっている現状 ( その一つの表れが前日の OGB 決議の件だと思います ) での今回の発表ですが、Webサイトやスライドの端々にそういった状況を打開しようとする意図が読み取れ、Illumos のサイトにはロゴの隣に リンカーンよろしく "Of the Community, By the Community, For the Community" と書かれています。現状に不満を言うのは簡単なことですが、それにとどまらず何をやるべきかを考えることが重要だという強いメッセージを個人的に感じました。今後の OpenSolaris がどの方向へ進んでいくのかということを考えるにあたり、この Illumos の動向は非常に重要になってくるのではないでしょうか。