2011年10月17日月曜日

Ubuntu 11.10 "Oneiric Ocelot" リリース

今、最も人気があると言っていい Linux のディストリビューション Ubuntu の最新版 "Oneiric Ocelot" が先週 10/13 にリリースされました (いきなり脱線しますが、"Oneiric Ocelot" は「夢見がちなオセロット」と翻訳されることが多いですが個人的に「夢見るオセロット」を推していきたい気がします) 。また、一歩進んだ日本語環境を提供する「日本語 Remix CD」も 10/16 にリリースされました。

Ubuntu 11.10 リリース ( Ubuntu Japanese Team )

Ubuntu 11.10 日本語リリースノート ( ubuntu wiki )

Ubuntu 11.10 Desktop 日本語 Remix CD リリース ( Ubuntu Japanese Team )

リリースの大まかな雰囲気としては、リリース日に公開された Ubuntu 道場が、より突っ込んだ内容についてはリリースノートが大いに参考になると思います。特に Ubuntu Japanese Team の皆さんが言っている通り、リリースノートは必読です。リリースノート翻訳はかなり修羅場だったそうなのでそういった面も含めて是非読んでください。

行っとけ! Ubuntu道場! - 第49回 ~師範、Ubuntu 11.10について教えてください!~ ( ascii.jp )

私もこの週末に以前この blog でもとりあげた「さくらのVPS512」や自宅のマシン等にインストールやアップグレードを行ってみました。道場の記事やリリースノートを読む限りにおいては、ブラッシュアップが主な内容だということですが、/var/run が /run へ、 /var/lock が /run/lock へ移行したことによる影響がアップグレードインストールを行った際に出る場合があるようです。リリースノートには Ubuntu AppArmor と VMWare に焦点があてられていますが、これ以外にもこれらのディレクトリの移行に失敗し影響が出るケースがあるようです。実際に遭遇する現象としては、アップグレード後の起動時に
Waiting for network configuration...
Waiting up to 60 more seconds for network configuration...
という表示がなされたままログインプロンプトやログイン画面が表示されないという状況になります。これらについてはそれぞれ


incomplete migration to /run (shutdown script order has been demolished)

Boot hangs at "Booting system without full network configuration..."

Unable to connect to the system bus: Failed to connect to socket /var/run/dbus/system_bus_socket: Connection refused (oneiric)

[oneiric] Keyboard & mouse not working in X - incomplete migration to /run

で議論されているところですが、対処方法としては、[ctrl]+[alt]+[F1~F6] でコンソールを切り替えたり rescue mode などでログインし、 /var/run と /var/lock を手動で移行するという方法があるようです。Ubuntu 11.04 までの標準構成ではこれらについては tmpfs で mount されていますので、
# mv /var/run /var/run.bak
# ln -s /run /var/run
# mv /var/lock /var/lock.bak
# ln -s /run/lock /var/lock
として、/var/run や /var/lock については /run および /run/lock へのシンボリックリンクを作成する必要があるようです (もちろん問題がないことが確認できたら、 /var/run.bak や /var/lock.bak は必要ありませんので削除できます) 。 /run や /run/lock への移行が完全であればこのシンボリックリンクは必要ないように思われますが、この辺はまだまだ完全に整備されているわけではなく、シンボリックリンクがないとやはり起動しませんので注意が必要です。

また、このような移行を行ってもなお問題が解決されないケースがあり、/etc/network/interface の記述をそれぞれコメントアウトしつつトラブルシュートしたりする必要があるようです。

今回の /run および /run/lock への移行は Linux FHS ( Filesystem Hierarchy Standard ) 3.0 Draft 1 への準拠による問題なので、これは Ubuntu に限らず遅かれ早かれ多くの Linux ディストリビューションで問題になりそうな感があります。

ということで、今回の Ubuntu 11.10 へアップグレードする際には道場の記事の中でも出てきましたが
編集S:まとめると、「自信があるならバックアップ取ってからアップグレードするといいよ」「自信がなければ1ヵ月ぐらい様子を見て、問題が出尽くしたあたりでチャレンジ」かな?
ということに尽きそうな気がします。新規インストールではなくアップグレードする際には今回はいつにも増して「バックアップ推奨」したいところです。サーバ用途に使っているのであれば検証用の環境を用意してそこで練習するくらいが丁度良いと思います。