2013年7月11日木曜日

「税金はどこへ行った?」( spending.jp ) は税額計算にも注力してほしい

いまやもう超有名人となった及川さんのBlogで、「税金はどこへ行った?」というプロジェクトがあるのを知りました。

税金・とりわけ市町村民税がどういった用途に使われているのかを「見える化」するということで興味ぶかいプロジェクトなのですが、開設されたサイトを見てみると、ある違和感を感じました。それは

納税額が明らかに高く感じる

ということです。気になったので検証してみることにしました。コードを見ると、収入から基礎控除と扶養控除(扶養ありの場合)を引いた金額の 6% を税額としているようです。
self.taxVal = (salary - (baseKoujo + (dependentType == 'family' ? huyoKoujo : 0))) * taxRate;
https://github.com/orezeni/orezeni.github.com/blob/master/js/dailybread.js#L115

市町村民税は基本料金的な位置づけの「均等割」と所得に応じて税額が決まる「所得割」の合計が納税額なのですが「均等割」の考慮がなされていないようです。(極端ですが扶養あり年収100万円の場合、所得割が20,400円なので、14%ほどの差が出ます)

また、国税と地方税の控除額の違い(基礎控除・扶養控除ともに国税が38万円、地方税が33万)、団体によって「均等割」部分に上乗せしている場合があるといった細かい点があることに気が付き、こちらに issue としてあげました(コード直してpull request出すまでの時間的余裕ないんです orz)。

結局のところ基礎控除と扶養控除以外の所得控除が「年収」には考慮されていないというのが、違和感の原因でした。「年収」の内訳は人それぞれなので如何ともしがたいのですが、仮に「扶養なし給与所得100万円」の方の場合、基礎控除(33万円)と給与所得控除(この場合65万円)を引くと所得は2万円、税額は 20,000 * 0.06 + 3000 で年額4,200円となります。

※ と書きましたが、実際「調整控除」で、所得の2万円と控除差額5万円のうち少ない金額である2万円の5%の1,000円が税額から控除されるので、年額3,200円となるのでしょうか。このあたりは所得税でも免税点前後の額ですので、少なくとも「税金はどこへ行った?」での年額40,200円という表示には違和感があります。

この手の資産ツールでは、「年収」の金額だけから税額を計算している時点で何らかのモデル化や前提条件があるものと思わないといけないのですが、せっかくのシステムですので、税額計算にも注力して欲しいと思いました。

特に所得控除や税額控除は低所得層に厚い制度設計となっているので、「貧乏人から重税を」的な文脈で見られないことを祈るばかりです。自治体サイドから見ると考慮されていない所得控除の分だけ余計に税金を取っているように見える分だけアンフェアなのかもしれません。

とはいえ、私達が納めている税金について認識を高めるという点では非常に優れたものなのだと思いました。