今年もよろしくお願いいたします。
昨年非常に印象的だった出来事はいうまでもなく東日本大震災であることは間違いないのですが、震災そのものよりもその後一体何ができるのかというのを何度も考えさせられる、そういった年であったと思います。そのような中で Hack for Japan や A3 TOGETHER などを通じて志のある方々と知りあうことができた年であったのではないかと思います。もちろんこういった活動は年が変わったから終わるようなものではなく継続してとりくまなければならない課題ですので、引き続き注力していきたいと思います。
昨年「ハレとケガレのweblog 本店」の方で2011年の展望を書きましたが、こちらでは IT に関連する部分で 2012年の展望を書いてみたいと思います。
ソーシャルの力
今年は昨年以上に「ソーシャル」という概念が意識される、また意識せねばならない年になるのではないかと考えています。これは Twitter や Facebook のようなソーシャルネットワークサービスがより広まるということ以上に、人と人との繋がりがキーポイントになるということです。 Hack for Japan で私が参加して印象的だったのは、効率であるとかテクノロジといったものよりもニーズを掘り起こしてそれにアプローチをするアイディアを一緒に考え議論するということが非常に大きな役割を果たしてたということでした。
Hack for Japan 自体は震災をトリガーとしたコミュニティではあるのですが、うまくコミュニティが機能しているものは相応の輝きを持っているというごくあたり前のことを再認識させることとなりました。オープンソースのコミュニティでもコミュニティが活きているか否かでプロダクトそのものの輝きが大きく左右されるということを身を持って知りました。
単なる技術的な部分だけでなく、ソーシャルの力、コミュニティをいかに育てていけるのかというのが、この業界の鍵になってくるのではないかと思います。逆にソーシャルやコミュニティが下手なプロダクトやプロジェクトは逆境の時を迎えるのではないかと予想します。
いかに小回りができるのか
小回りがきく手法を身につけるということは今年大きな鍵になるのではないかと思います。震災の復興支援の議論では日に日に状況が変化する中で何ができるのかということが課題となることが多かったのですが、状況に即応するために小回りが利く瞬発力、hacker力というのが色々な場面で試されるそういう段階にきているのではないかと思います。
今までは仮に小回りが聞いたとしてもそれをユーザに伝える手段がなかったり、そもそも小回りどころではないリソースを費やさなければステージにすら立てないという状況でしたが、Android アプリや Web サービスであれば、 Android market や Chrome Webstore などを使い、ソーシャルネットワークサービスで告知を行うことで簡単にアプリやサービスをローンチして使ってもらうことが可能な状況になりました。
企画を立案して各所にプレゼンをして資金計画を立てて開発要員も確保してようやく着手するといったビジネスのやりかたが、もしかしたら通用しづらくなってくるのではないかと思います。世の中の動向が安定しているような場合であればセオリーとかしきたりとか今までの成功体験といったものからなんとなくプランを立てることができましたが、そういったものの中に実は根拠のないまやかし的なものが多いことが露呈してしまったこともありますし、復興という名前の変化をより早いスピードで行うことが大切な状況では小回りが利くというのは非常に重要な要素になりうるのではないかと思います。
クールでないものは衰退する
あとは如何に洗練するかというのがプラスアルファで重要になるのではないかと考えています。小回りが利くということそれ自体がクールであるのですが、洗練されたものやより注目すべきものが今後増えてくるのではないかと思います。そのような中で震災前と同じような製品は埋没し市場で評価されなくなっていくのではないかと思います。
ある意味色々なものが出てくるチャンスがでてきた一方で、旧態依然のものは光を失っていくそういう時代になりつつあるのではないかと思います。
そんな中、何がクールなのかという大きな課題が目の前につきつけられているわけですが、そういったものを見分ける感覚であったり実装する能力なにを磨きつつどんどん世に問うことが重要な気がします。
そんなことをやるためのヒントとして、昨年9月にフランスのシューズブランド Palladium が公開したドキュメンタリー動画 Tokyo Rising を貼りつけておきたいと思います。ITについては触れられていませんが、大いに刺激される、私のお気に入り動画です。
Tokyo Rising: Part 1 - Pharrell's return to Tokyo
(Part 2 以降は「もっと読む」からどうぞ)
Tokyo Rising: Part 2 - Tokyo: Under and Above Ground
Tokyo Rising: Part 3 - Art in Flux
Tokyo Rising: Part 4 - The Remix Culture
Tokyo Rising: Part 5 - Trippple Nippples Show