2016年1月3日日曜日

Floral Kiss 2012年モデルのジャンク品を再生してみました

すでに去年の話になって恐縮なのですが、富士通のウルトラブック Floral Kiss 2012年10月発表モデル ( FMV LIFEBOOK CH55/J ) のジャンク品を再生してみました。

この機種は女性をターゲットに「大人カワイイ」を狙った製品でこんなPVが作られていた機種です。



購入したのは秋葉原の MARSHAL PREMIUM STAGE リアル2号店。カラーは「Elegant White」です。

自分にとってノートPCは半分消耗品で、ベースが安いものを工夫して使うスタイルなのでメーカー製の新品を購入することはあまりないのですが、ちょっと気になる存在でした。このシリーズは 2014年に後継モデルが出ていますが、個人的には2012年のデザインのほうが好みです。ジャンク品ということで、そう簡単に使い物にならないだろうと思いつつ、ブログには書いていないけれど、その前に同店で買った Arrows Tab Q582/G がいい感じに動かせたので、その勢いに乗って突撃してみました。

注意 【CAUTION】

  • 分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
  • このエントリを読んで行なった行為によって生じた損害は当方、メーカー、ショップもその責任を負いません。
  • 内部構造についての記述は当方が使用したものについてのもので、すべての個体・製品に共通であるとは限りません。
  • 「ジャンク」として売られているもの全てがこのエントリのように上手く動作するとは限りません。
  • このエントリについての個別の質問・問合せには応じません。


ブログを書く前提ではなかったので、作業中の写真は全く写真を撮っていないかったのですが、第一印象では見た目や部品の状態は悪く無い感じで、Arrows Tab Q582/G で悩ましかった BIOSロックもかけられていないので、OSをインストールすればイケそうだと思っていました。がしかしそれほど甘くはなく、どうもPOSTまでに時間がかかるようでこの原因を調べる必要がありそうでした。

メーカーサイトなどで仕様を確認して気になるのは「高速処理用SSD」なる記述があることで、BIOSではそれらしきものを認識されている様子がない( HDD はハイブリットではなく普通の 7mm 500GB のものでした )ので、これがネックかとあたりをつけて、HDD やメモリを付け替えて切り分けをしたのですが、やはり「高速処理用SSD」が悪さをしているようで、それはBIOSからは認識されていないか、設定が隠されているのかという状況。なかなかぐんにょりした感触です。

その後、BIOS設定を変化しながら試してみたところ、起動デバイスを設定し「高速処理用SSD」を触らないように高速起動モードに設定すればその時々にもよりますが、指定したデバイスから起動することが可能な状態に。ハードウェア周りが不安だということもあり、情報を集める意味も含めてUbuntuをインストールしてみたところ、起動時にひっかかる感じで待たされる感じでインストールすることができました。

Ubuntuを起動して、dmesgの内容を確認してみると、
ata2: COMRESET failed (errorno=-16)
が複数回記録され、「高速処理用SSD」の初期化に失敗し、何度かリトライするのに時間がかかっていることが判明。システムボードにSSDが実装されていて、SATA に接続されていることが分かったわけですが、壊れているかもしくは特殊な方法で初期化しないといけないかの理由で上手く使えていないこと、「高速処理用SSD」を無効にする方法を考えるか起動が遅いのを我慢するかというところまで絞りこめました。

そもそも「高速処理用SSD」って具体的にはなんだろうということで、色々調べてみたら
Intel Rapid Start Technlogy と Condusiv Technologies 社 (元Diskeeper) の Express Cache という技術を使っているらしいこと、それぞれ Windows 環境での動作を想定していること(あたりまえか)こと、うまく動いている環境ではSSDドライブはWindowsからディスクとして認識されるらしいことがなんとなく分かりました。

一方でUbuntuを使うときにこのような事例がないか調べたら、NCQ を受け付けない初期のSSDを使う際やそもそもSSDが壊れている際にこの現象が起きるようですが、NCQ を無効にしてみても現状が改善されず、ますますもって「高速処理用SSD」が壊れている疑いが強まりました。

起動時の遅さを我慢すればいいかと諦めかけたときに、ふとログを見るとなにやらデバイスを認識している兆候が出ていました。SanDisk の i100 24GB と報告されているけれども、認識されたらしいデバイスには書き込みも読み込みも失敗するようで使えず、そもそも起動時に認識されずにスリープ復帰時に認識される妙な状況や、そもそも i100 が実装されているシステムでは起動時に 24GB の SSD として認識されるらしいことから、キャッシュ用SSDのi100が壊れているという結論となりました。

壊れるなら壊れるで完全沈黙してくれればいいものを、時間をかけて初期化の試みを行なっていて起動が遅く、BIOSで無効化することもできないという手詰まり感がありながら、どうしたもんかと考えていたら、別機種のLIFEBOOK UHシリーズの記事を発見。やはりSSDをキャッシュのように使っているということで、UHシリーズではモジュール化されているi100を物理的に外せば大丈夫だろうと、メインボードレベルまで分解したところ、残念ながら i100はハンダ付けされておりました orz

どうしたものかと頭を抱えていたら、同じように i100 をS実装されている Asus の Zenbook UX32VD のユーザさんで、「マザーボードからi100を取り外したらうまくいった」という情報が。ここまできたら、やけくそというわけでもないのですが、表面実装されている i100 のチップを暖めて取り外すことに。そもそも表面実装は「フロープロセス」もしくは「リフロープロセス」で作られている一方で、 i100そのものは「すでに壊れている可能性が高い」ので、メインボードの i100 にドライヤーの熱風を調節しながらゴリゴリやってi100チップを外すことが出来ました。「リフロープロセス」は家庭でもホットガンなどの工具や調理器具のホットプレートやオーブントースターで加工する例があるので、ドライヤーで熱しながらゴリゴリやってi100チップを取り外すことに成功しました。

取り外した後は軽く絶縁テーブで気持ちだけ養生して組み上げて元にもどしたところ、起動時に時間がかかる問題は解消されました。24GBのSSDは使えなくなりました(そもそも壊れていた?)が、調べてみたらイマドキの SATA SSDのほうが速いので、HDDをSSDに交換すれば全く問題がないことに。

ここまでやって晴れて再生できたわけですが、メーカー品のPCで Windows 8 プレインストールモデルで、ライセンスは本体BIOS内に格納されていること、最新の Windows 10 build 1511 では Windows 7,8 のライセンスが確認できたらクリーンインストールできるので、これはこれでオイシイところかもしれません ( とはいえ私はUbuntu使いますけれども )。