今日は勝手(?)に黒猫魔術店さんの「毒林檎」を紹介したいと思います。
黒猫魔術店さんは私の実家に近い、山形県酒田市にあるリアル店舗のオカルトショップさんで、この年末年始に帰省したときに襲撃(?)してきました。
— 黒猫魔術店@蜜猫と虚月と柘榴の遊戯 (@kuronekomajutsu) 2015, 12月 31
すでにいろんなメディアでも紹介されていますが、この「毒林檎」は地元山形県庄内地方産の林檎と趣向を凝らした願掛けの方法のセット商品です。
「願掛け」もよくある子供だましのものではなく、月が満ちゆく期間でかつボイドタイム(占星術上の概念で月が他の天体と特定の角度を形成しなくなってから次のサイン入りをするまでの期間)を避けて日取りを決めるところから始まるなど、手加減なしの内容となっています。林檎もただの林檎ではなく地元で黒猫魔術店が監修し丹精こめて育てられ、火を通して食べることを前提にした一級品で、経験や体験をまるごとラッピングしています。
この商品企画の凄いところは、農産物とオカルトをうまく組み合わせて体験型の商品として高い付加価値をつけることに成功したところです。食べ物を無駄にせずに「最後に食べる」ことを指示しているのも高ポイント。「魔女術」を示す Witchcraft の単語に「手芸・工芸」を意味する craft が含まれているところをよく理解し、そしてこのように商品企画をすることで実践しているのが素晴らしいと思います。
地方の物産をアピールする方法としては「萌えおこし」や「ゆるキャラ」といったムーブメントがありましたが、表面的なスタイルを真似るだけではもうアピールできない時代になっている気がします。
単に品質の高い農産物というだけではアピールポイントとしては弱いうえに大消費地向けに出荷されるものが大多数で地元よりも東京のほうが特産品の入手性が良かったりすることもよくあります( 事実、山形県産の農産物は銀座のアンテナショップが山形県内のどのショップよりもバランスが良いと思っています )。
もちろん通販で「お取り寄せ」すれば大抵のものは手に入る時代になったというのも大きいところでしょう。
単に珍しいだけでは見向きもされず、「体験」までうまくプロデュースするような仕掛けが求められていると感じます。
オカルトな要素を見ても、昨今は質が悪く単なるいかがわしいものが世にはびこり、法外な金額をとるものや、人を騙すことを目的とした何かが多い一方で、グッズそのものはネット通販で手に入る時代( 海外メーカーのタロットデッキなんて最小の英語力があれば簡単に買えてしまいます。ものによっては Amazon.com でポチるだけです )、本質は何かということに真摯に向き合うべきなのかもしれません。
オカルトというか魔術はこうあるべきだと感じました。きっと一般の方にはオカルトと同じように見えるITの世界にいる私も見習いたいところです。
今後も黒猫魔術店さんのご活躍を期待いたします。