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2013年2月12日火曜日

OpenSolaris.org が 2013/3/24 に運用停止になる模様です

別れた恋人に執着するような記事で申し訳ないのですが( 『死んだものと思え』 by 久谷女子 )、OpenSolairs のお話でございます。

OpenSolaris.org 上のサービスが来月 3/24 に停止される模様です。現在 www.opensolaris.org にアクセスすると
ATTENTION: This website and all services within the opensolaris.org domain will be unavailable after March 24, 2013. 
Site Unavailable After March 24, 2013
In preparation for the decommission of opensolaris.org, certain content, mailing lists and projects will be moving to java.net and/or the Oracle Technology Network (OTN). If you have questions about a particular collective, contact a leader of that collective. 
というメッセージが表示されます。OpenSolaris.org の廃止(decommision)準備のため、一部のコンテンツ、ML、プロジェクトはjava.netもしくはOTNに移動するということだそうです。

思い起こせばOracleのSun買収からいろんなことが起き、Solarisに関しては一度オープンソースになったものが再びクローズドなものになる、バザールに出していたものを伽藍に引っ込めるということが起きました。旧Sunの他の製品についてもそれぞれの事情は違いながらも状況が激しく変化して様々な影響を及ぼしてきました。

一時期オープンソース万能説が流行った時期もありましたが、結局は担い手がいなかったりビックスポンサーの方針転換でここまで左右されうるというのが教訓だったのでしょう。

ひとつ言えることは、「OpenSolarisの『緩やかな死』が 『OpenSolaris.org 上のサービス終了』という段階に来た」ということでしょう。

そうそう、手垢がついて誰もやりがたがらない( SEO屋さんは別かな? )かもしれませんが、opensolaris.org ドメインは、

Last Updated On:27-Apr-2012 22:39:45 UTC
Expiration Date:19-Mar-2016 17:13:14 UTC

と現段階で 2016/3/19 まで有効となっていますので、ドメイン乗っ取るようなことは考えない方が良さそうです( 仮に乗っ取ることができたとしても、訴訟喰らいそうですが )。

2011年9月25日日曜日

Solaris についての個人的な展望

なかなか方向性がみえてこない Solaris まわりでございますが、現地時間の 9/21 に Oracle の四半期決算についての記事が出ていました。記事はオリジナルが


で、日本語の翻訳記事が japan.internet.com に掲載されています。


この記事によると、この四半期は決算的は好調だったそうで、それはなりよりであったのですが、それ以上に興味をひかれるのはその中で引用された CEO の Larry Ellison の言葉です。
"I don't care if our commodity x86 business goes to zero,"

"We don't make any money selling those things. We have no interest in selling other people's IP, and commodity x86 includes Intel IP and Microsoft IP."
この中で出てくる "IP" というのは IPアドレスのことではなくて、知的財産権 ( Intellectual Property ) のことなのですが、知的財産権で ( Oracleが ) 利益が上げることができない分野で、もはやコモディティ ( 日用品 ) 化した x86 でのビジネスには興味ないということを言っています。

CEO である Larry Ellison がはっきりと "IP" という言葉を使ってこのような発言をしたということは大きな意味があって、Oracle としては知的財産権を囲い込めないところではビジネスをやらない( やりたくない ) こと、それこそオープンソースなど糞食らえだというのが本音なのではないかと思わざるを得ません。極端な見方をするならば「Oracle はオープンソースの敵だ」と公言したに等しい感があります。

思い起こせば旧 Sun の製品でコモディティ色のあるものやオープンソース化したものはそれぞれ波乱の時代を迎えています( OpenOffice.org は結局 Apache 財団に、Java では訴訟、Solaris はサーバ志向へ )。

OracleSolaris まわりの展望


そういった事情を踏まえて OracleSolaris がどうなるのかという展望を考えてみたいのですが、現在 OTN ライセンスでプレビュー版ともいえる Solaris 11 EA が提供されて ( 要OTNアカウント ) いますが、対応システムは x86-64 と M もしくは T シリーズの SPARC システムに絞られています。 32bit x86 については Solaris 11 Express からサポートされなくなりましたが、 あらためて Solaris 11 EA を見てみると /kernel 以下の 32bit バイナリが全部粛清されている状況です。

なるほど徹底しているなと感じてユーザランドを見てみると /usr/bin 以下などには相変わらず 32bit のバイナリがそれなりに存在します。

ソースツリーの中でどうなっているのかは憶測するよりほかないのですが、 /kernel 以下のディレクトリ構造が変わっているわけではないので、32bit バイナリが生成されないようにビルドシステムが変更されたのではないかと思います。 これは x86 アーキテクチャの中でもよりコモディティ化している 32bit システムについて戦略的にサポートを落としたということができます。

Solaris 11 EA を見る限りで推測すると、Solaris 11 はリリース当初において x86-64 はサポートされるようですが、中長期的に見た場合には x86-64 もサポートが切られSPARC システム専用になるか、専用のアプライアンスのみサポートするという形になるのではないかと思います。

コミュニティベース Solaris については?


このことはコミュニティベース Solaris にも間接的に影響することで、いわいる「リークメモ」ではOracle Solaris リリース後半年後を目安にソースを公開する方針が謳われていますが、そもそもソースが開示されるのか、開示されたとして SPARC 専用のものになるのではないのかという懸念が考えられます。またライセンス回りについても、Oracle がその気になれば Illumos も OpenIndiana も訴訟でつぶされる可能性を常にはらんでいます。また仮に CDDL ライセンスでパッチなどの貢献を行った場合には Oracle が自身の財産として無制限に使うことができてしまうという問題も生じます。

OpenIndiana ディストリビューションについても同じようなことが言うことができて、 OracleSolaris 互換を目指しているという目標のために、Oracle の動向に足を引っ張られるという事情があります。端的な例は Apache2 についての脆弱性のついての対応で、Bug Ticket が登録されているものの、その内実は
CVE-2011-3192 is a major security problem affecting Apache 2.2. Oracle may have packaged 2.2.21 in Userland or added patches, we should pull this in or update it ourselves.
という状況で登録されたままの状態になっています(脆弱性が報告されて何日経過しましたっけ?)。

「OpenSolaris」 という幻想


では、OpenSolaris とはなんだったのかという議論が生じるのですが、あえていえば

Sun が残した最後の花。しかしもうすでに枯れている

ということができるのではないでしょうか。よく言われる OpenSolaris の三要素「ディストリビューション」「コードベース」「コミュニティ」で見ても、「ディストリビューション」はすでに終了、コードベースについても Oracle が持っているものは公開どころか知的所有権として囲い込み、「コミュニティ」に至っては OGB 解散以降再編の動き無しということで、何ひとつ機能していないことになります。

見かけ上 Illumos/OpenIndiana を「OpenSolarisの後継」と位置づける見方もありますが、Oracle が知的所有権の囲い込みで収益をあげる施策をとるかぎり、Illumos/OpenIndiana が OracleSolaris 互換を維持するのは非常に難しいものになると思います。 結局のところ、これから Solaris を追いかけるということは、プロプライエタリ・ソフトウェアの OracleSolaris を追いかけるということにならざるを得ない状況です。端的に言えば

Solaris が Oracle によって closed にされた以上、 OpenSolaris という言葉は概念的にありえない

ということができましょう。Oracle が Sun 買収後に Solaris に対して起こした(そしてコミュニティを無視し続けた)行動はまさにこの Larry の言葉に集約されているといっても過言はないでしょう。私自身 LiveUSB Creator を書いたりしてそれなりにかかわってきましたが主が変わるとここまで変わってしまうという教訓をだったのかもしれません。

再掲しますが、
"I don't care if our commodity x86 business goes to zero,"
"We don't make any money selling those things. We have no interest in selling other people's IP, and commodity x86 includes Intel IP and Microsoft IP."
この言葉、Larry の ( そして Oracle の ) 本音なのではないでしょうか。国内にも "OpenSolaris" のユーザグループが存在しますが、そろそろ真面目に身の振り先を考えたほうがよいかもしれません(私のような「不良会員」が言うことではありませんが...) 。さもないと「OpenSolaris は Oracle の商標だけど、もう closed にしたからその名前使わないでくれ」とか言われそうな気がします。

2011年1月25日火曜日

OpenOffice.org とベンダ・ロックイン

一応地元県のお話なのではありますが、「山形県がOpenOffice.orgを県庁の全パソコンに導入へ、都道府県で初 (ITPro)」というニュースが飛び込んできました ( 業者側のニュースリリースはこちら ) 。

この話題は昨年に導入検討開始時に一度ニュースになりそれなりに注目を集めた話ではあるのですが、今回の導入決定についてはさらに注目されない、なかばスルーされているニュースとなっているように見えます。

ITPro の記事を見るとメインストリームサポートがすでに終わった Windows XP を主に使っていてそういった機器で今後 OpenOffice.org を導入していくとのことです。とは言っても Windows の系譜で言えば、すでに 2 世代前の OS ということになり、全ての PC が Windows XP を積んでいるわけではないと考えられます。ちょっと穿った見方かもしれませんが、比較的最近導入したものについてはITproの記事で言うところの
...外部の組織向けにMicrosoft Officeのファイルを作成する必要があるパソコンや、マクロを利用しているパソコンなどについては、Microsoft Officeを継続利用する。
ということにして、サポートが終わってしまいそうなものについて OpenOffice.org を導入して延命しようというプランのようにも見えます。地方公共団体の財政が押しなべて厳しいことは今に言われたことではないのですが、今回のように「ワーキンググループ」なるものを作って大仰に検証までするべきものであったのかどうかというのは疑問に思います。

MS Office を使い始めるときには「ワーキンググループ」を作って検討していたのか

自治体の現場に PC が導入されだしたのはそれほど最近の話ということではないのですが、職員全員にいきわたるほどの勢いで導入されだしたのは、いわいる e-Japan 戦略の時代 ( 2001年頃~ ) だったように記憶しております。それ以前に導入されたものはインターネット用の PC であったり、事務の効率化を狙って導入したもので、オフィススイートは 一太郎 と Lotus-123 の組み合わせであったり MS Office だったりと統一性がなく、e-Japan 戦略の波の中で「なんとなく世界標準だから」という理由で MS Office が普及していった流れがあったように思います。その当時はとにかく PC を使うことが目的で今回の山形県のように「導入の是非を検討するワーキンググループ」などを立ち上げて検討を行った団体があったようには記憶していません。

また、サポートされなくなりそうなソフトウェアがあるけども予算がないので無償のものに置き換えるという戦略であれば、選択肢などないに等しいわけですから「無償ソフトウェア『導入の』是非」を検討するのではなく、「無償ソフトウェア導入の『手法』」を検討しないといけないことは明白です。あくまで大義名分を通したい部分があるのは心情として理解できなくもないのですが、そこまで大仰な舞台装置を作られても正直醒めてみてしまうということもあるように思います。

OpenOffice.org を使ったとしても依然としてベンダ・ロックインの呪縛からは逃れていない

もう一つ重要なことは、昨年 Sun が Oracle に買収されてしまったことで、 OpenOffice.org は Oracle の持ち物になってしまい、 OpenOffice.org の将来が以前よりも流動的になってしまった事情が出てきたということに対して何の警戒も持っていないということだと思います。旧 Sun のソフトウェア製品の中で、オープンソース界隈で特に大きな影響があるのは Java, OpenOffice.org, (Open)Solaris の 3つですが、この3つの製品すべてにおいて昨年の間に製品の将来が直接左右されるような Oracle による方針転換やそれに対抗する動きが出てきて、「将来にわたって無償で(比較的)品質の高いソフトウェアが継続的に利用できる」かどうかなど誰にも予測できない事態となっています。

OpenOffice.org についていえば、さらなる「自由さ」を求めて枝分(フォーク)してしまった LibreOffice の存在があります。現在のところ内容的にはこの 2つのソフトウェアはほぼ同じものであるといえますが、今後これがどういった差がでてくるのか来ないのか、 有力 Linux ディストリビューションがどちらを採用するのかというのは流動的な側面が多く、今の段階でどちらかを選択することを宣言するというのは正直情勢に疎いのではないかと思わざるを得ない部分があるのではないでしょうか。

またそもそもの話として、今回の Oracle による Sun の買収のような外的要因で、盤石に見えていたオープンソースプロジェクトがいきなり存続の危機に直面してしまうということも起こりうることで、ユーザやプロジェクトのサポータはこういった要因に対してほぼ無力だということも知られるようになりました ( その最たる例が OpenSolaris であると言えましょう ) 。この辺を突き詰めていくと、オープンソースソフトウェアというのは私企業の持ち物であるべきなのか、それとも公共財であるべきなのかという根本的なところに行き当たってしまうわけですが、 本気で「ベンダ・ロックインからの解放」ということを口にするのであれば公共財としての投資を行う必要がどうしても出てくるのではないかとこういうことになってしまうのです。このことについては OpenOffice.org の日本のコミュニティのリーダー氏がかなりキツイ口調で ( その攻撃的な態度はいかがなものかとは思いますがそれはさておいて ) ことあるごとに口にしていることであったりもします。

企業がかかわりを持つ限り程度の大小はあれどもベンダ・ロックインにつながる要素が発生しますし、逆に企業色を完全に排した場合にはコミュニティそのものの継続性が脆弱になってしまうというジレンマがオープンソースプロジェクトに対してつきまとっているといえることができるでしょう。

「無償で便利そうだから」安易に飛びつくことの危険

OpenOffice.org に限った話ではないのですが、このようなオープンソースプロジェクトにはプロジェクトの数だけその背景があり、単に「無償で便利そうだ」ということだけで安易に飛びつくと Oracle+Sun のプロダクトのように外的要因による濁流に巻き込まれてしまい、気が付いたら想定外の事態となってしまうという危険が ( 程度の多少はあれ ) 存在します。「誰かが無償で出してくれるから」それに乗っていくだけではなく、そのプロジェクトがどのような意義を持ちどういった影響をもたらすのか、またプロジェクトに対してどのようにかかわっていけばよいのかということをよく吟味する必要があるのではないでしょうか。

ここ最近の状況を見ると RedHat Enterprise Linux 代替の無償 OS である CentOS について、最新版の開発が難航しているという報せもあります。何が盤石で何が危ういのか、危ういなら危ういなりにどのようなコミットをしてくのかそういったことを考えないとオープンソースソフトウェアを使っていくのは難しいのではないでしょうか。