2011年9月20日火曜日

SoftwareDesign 2011/10号 を買ってみました

なにやら非常にはっちゃけた FreeBSD の特集が組まれるということで、久々に SoftwareDesign 2011/10月号を買ってみました。

FreeBSD は自分が持っている計算機で最初に使った UNIX like OS で、バージョンで言うと 1.1 前後、まさに 4.3BSD Net/2 の訴訟ねたが進行しているあたりで使い始めました。 その後大体 3.x ~ 4.x あたりまで使っていたのですが、コミュニティの毒気に霹靂 ( 時代が違う話なのですが、この記事あたりが雰囲気として参考になると思います ) したのと、UNIX の本質に触れるのであれば Solaris であろうと考えて FreeBSD を使うのはやめた経緯がありました。

現在 Solaris を取り巻く状況は OpenSolaris の晩年期を頂点として、色々と残念な状況になっているのですがそれはそれとして、良い機会なので FreeBSD のその後の経過と最新動向を探ろうという意図で買ってみたのですが... やはり期待を裏切られるような内容でございました。

歴史語りが多すぎる


BSDそのものがこの業界の中で長い歴史を持っているという事実、そして雑誌のカラーとして読み物的なものにもウェイトを置いているという事情はありますが、それにしても歴史語りが多すぎたように思います。また歴史語りにしても 4.3BSD Net/2 の訴訟の経緯の部分で「FreeBSD が 4.4BSD-Lite 出自である」というミスリードを誘う(表題下の概要の部分には「最初は 4.4 BSD Liteをベースに 386 CPU 用に公開された FreeBSD は」と書かれちゃってたりします)プチごまかしをしていたり、FreeBSD を選択するメリットがすでに歴史的なトピックになっていて(イマドキ IEEE802.1Q をサポートしていないサーバOSなんてありませんよ?)それに筆者が気づいていないか勉強を怠っているということがありそうだと感じました。

特集記事間の連携がうまくいっていない


これは執筆者間の打合せかもしくは編集者のチェック不足のどちらかだと思うのですが、内容的に歴史語りとなってしまった記事がかぶってしまった部分や、FreeBSDの 派生OSとして PC-BSD を紹介したその直後のインストール記事で、インストーラーとして PC-BSD を使って解説をしているところがマズい部分としてあげられるのではないかと思います。インストール記事では ZFS Root の兼ね合いでと断り書きがしてありますが、結果的にインストール記事の説明の中で ZFS Root が必須の要素には思えない構成だった以上、中途半端に混乱を招く内容だったように思います。

また、インストーラーということでいえば小飼氏の放言コラム ( コラムにすらなっていないように感じましたがそれはさておいて ) で Ubuntu の GUI インストーラーを写真まで載せたうえで「華がないほうがいい」とこきおろしていましたが、その主張とインストール記事での紹介が矛盾してしまっているというマズさもあります。もちろん Ubuntu には GUI インストーラーだけではなく Alternate CD によるテキストインストーラーも用意されていますし、Server Edition であれば、最小構成でのインストールも可能です。これは比較対象のものについてろくに調べもせずに単にケチをつけているといわれても仕方がない部分があるのではと感じさせられる内容に思いました。

一般誌で「まど☆マギ」ネタを展開することの是非


「まど☆マギ」というのは今年1~3月に非常に話題になったアニメ作品「魔法少女まどかマギカ」のことで、作品としては非常に素晴らしいものであり、一時期は秋葉原やこの手の勉強会やカンファレンスで繰り返し使われたネタであるのですが、それを全国の書店に並ぶアニメとは関係のない一般雑誌で展開することについては是非が問われそうに思えます。実際

[女性が参加しやすいITイベントの作り方 1/2] わたしたちが勉強会に行かない7つの理由

という記事が書かれる程度には嫌悪する人もいますし、なにより元ネタを知らなくても十二分に理解でき、楽しめるような程度に抑えるべきだったのではないかと考えています。実際この作品の魅力としてストーリの核心部分についての暗喩のうまさが光っていたことがあげられるのですが、そういった要素をさしおいて、ネタ全開で特集組むのは時期的なものを考えたとしても非常にリスクが高いように思います。さきほど挙げた小飼氏は 9月号の書籍おすすめ企画でもこのネタを展開したようですが、同氏が今回の特集の仕掛け人だったとしたならば一般雑誌に寄稿することの意味をもう一度考え直してほしいと思います。

事実上国内のコミュニティが存在しないOSに新しいユーザを呼び込めるのか


こんな感じで、若干統一感に欠けるといわざるをえない特集でしたが、仮にこれをキャッチアップするコミュニティがあれば FreeBSD の今後の展開につなぐことができることもできそうに思いますが、実際のところ事実上国内のコミュニティが存在しない ( http://www.jp.freebsd.org/ はありますが、開店休業状態ですよね? ) 状況で、どれだけ新ユーザに訴えかけることができたのかというのは非常に疑問に思います。雑誌に特集として取り上げられるというのは大きなチャンスであることは間違いないのですが、そのチャンスが無駄にならないことを願いたいところです。

今号全般を通じて


久々にこの雑誌を買ってみた立場でこのようなことを言うのは心苦しいのですが、この雑誌の広告出稿がこのご時世のせいなのか非常に少ないのが気がかりです。今月号は特集のインパクトでそれなりに部数が出るような気がしますが、その後どう維持していくのかということは雑誌として大きな課題になると思います。誌面後半の連載の部分については小粒で光る記事が少なからずあるので、メインディッシュとなる特集記事の内容でしっかり読者の心をつかむ誌面づくりを期待したいところです。