2011年11月24日木曜日

「グーグルの72時間」がPDFファイルで無料公開

Impress Japan さんより、12/8 に発売される予定の「IT時代の震災と核被害」の冒頭部分、「グーグルの72時間」の部分の PDF ファイルが無料で公開されています。

内容としては、震災が起きたその前後のリアルなドキュメントや、恐るべき早さでリリースされたパーソンファインダーとその舞台裏やエンジニア達の試行錯誤や葛藤といったことが非常にいきいきと描かれています。

いまや誰もがその名前を知っているであろう Google ですが、中で奮闘しているエンジニアの生の働きぶりや情熱といったものはなかなか外部に知らされる機会はありません。あの震災とその混乱の裏でこれだけの情熱とそれを支える体制が迅速にとられたということが、これだけの成果をあげることができた要因だったのではないでしょうか。
「いくら若いメンバーでも、何日も極度の緊張をしいられる状態が続くと、相当に参ってきます。そのときみんなを踏んばらせたのは三浦です。災害現場では最初の72時間を過ぎると生存率が下がることは、みんなも頭ではわかっている。しかし、神戸の震災を経験している彼がいうと、リアリティが違います。ほかにも阪神大震災の経験者がいて、彼らの声に励まされ、とにかく必死でがんばることができました」
私の当時の状況を振り返ると、幸い電気や水道などのライフラインは無事だったものの、物流が完全に麻痺し、 次第にサバイバル的な状況となる中、目前の状況への対応に追われていたように思います。極限状態でどのようなパフォーマンスを発揮できるのかがその人や組織の真価だといわれることがよくありますが、もっとも優秀だとされるエンジニア集団がどう動いたのかということについて非常に参考となりました。

ただひとつ非常に気にかかるのは、本来こういった公共的な機能を果たすべき行政機関について
一方、災害時にもっとも重要かつ信頼できる第一次情報を発すべき政府と行政は、安否情報システムひとつをとっても、十分な機能を果たせなかった。原発や核被害に関する第一次情報についても同様である。私企業にまかせておくだけでいいのか、という点については、市民であるわれわれもまた、社会の一員として再考しなければならない。
 と厳しい評価を下さざるをえない状況があるということだと思います。賞までいただいてしまいました「牛トレーサー」の件や、福島をはじめとしたガイガーカウンター自作ムーブメント、様々なボランティアプロジェクトなど震災以降色々な人がそれぞれのリソースを持ち寄って身を切って復興を目指しているという状況やその情熱を、未来に活かせていけるような社会になればとささやかに思うのでした。